龍が如くzero 感想

龍が如く」シリーズは、1と2を学生時代にクリアして満足し、3以降は「まあ、もういいかな」と手をつけていなかったのだが、zeroはとびぬけて評判が良かったのでプレイに至った。

 

プレイフィール自体は昔と大して変わらない印象だが、メインシナリオ・サブシナリオ共に面白く、特に真島の兄さんパート(zeroはダブル主人公制)が白眉。

 

完全に自分の性癖の話になるのだが、見返りを求めず誰かに尽くし、その相手には自己の貢献をひた隠しにするシラノ・ド・ベルジュラック的な行動をとるキャラクターに弱い。初代と2では「自分のために生きている」感が強く押し出され、ギラギラした狂人として描写されていた真島さんだが、zeroの時代では過去の組織へのあやまちのケジメからカタギのような日々を強いられており、性格は至って普通(これは本当に驚いた)。

 

組織への忠誠と個人としての意思の板挟みに苦しみぬいた真島さんは、終盤あることを知らされて茫然自失になった後、最終的に「振り切れて」暴れるという境地に達する。あまりにもイカす展開だったもんで、決戦に向けた準備を一切行わず即座に最終章へ飛び込むほどワクワクさせられた。

 

桐生ちゃんも、まだ半人前のチンピラなのに絶望的な状況下で行動し続ける姿はバイタリティに溢れていたし、初代では拝めなかった錦との友情も丁寧に描写されていた。

 

人間関係とか権力関係とかでがんじがらめになった人物が、状況を認識したうえでリスクを顧みずに自己の意思を貫徹させに行くという展開は大好物なので、個人的には非常に満足度の高い作品(主人公がアウトローだと、道徳的※なアレコレをすっ飛ばしてそういう展開に持って行きやすい説)。

 

※「一般的な道徳」についてコメントしておくと、一応シリーズの顔である桐生ちゃんは「人を殺したことが無い」という設定になっているらしい(主人公としての暗黙のレギュレーション遵守だろうか)。とはいえゲーム中の描写を見ていると、どう考えても最低3人はヤッてる。ジタバタすんじゃねえや!