最近読んだ漫画

 ■BEASTARS

去年くらいに知ってハマッたんだけど、途中で作中のテーマが俺の興味をひかなくなり一時離脱。最近あらためて最新巻まで読み直した。

 

俺はレゴシ(主人公)が一線を超えないように超えないように頑張るけど限界に来たところで肉食獣っぽいブチギレ方するのがすげえ好きだしカタルシスを感じるまであるんだけど、本人はそういう自分の性質を嫌っていて、とにかく自分の本能を抑え込もうとして、ケンカは一切やらなかったりと、一線を守ろうとしている。

 

この主義は一貫しているっぽく、食殺をやらかした犯人はもちろん、こっそり裏市で肉を食べる友人にも怒りを向けるという潔癖っぷりなのだが、そのせいで色々と要らない苦労を背負い込むし、折角想いが通じた女の子とも距離をとっちゃう。

 

時折息苦しい展開から解放されるシーンが好きだったんだけど、最新巻まで読むと、悪落ちした先輩があっさりと戻ってきたり、(個人的に大好きな)全寮制学校の描写が削られる展開に突入したり、虫を食べたレゴシが謎の幻覚を見たりとか、圧倒的な暴力で問題を解決しているビースターが登場したりとか、この作品はどこへ向かっていくんだ...?とモヤモヤ。

 

ヴィンランド・サガ』の主人公が暴力を破棄した以降の展開でも感じたのだが、ある人物に高尚さが現れるまでの過程をこれから見守っていくことになるのかと思うと、少し気後れしてしまう。

 

この路線で行くと、レゴシがちょうどいいバランスを見出してそこに着地するという結末になりそうな気がする(仕方ないことは割り切るとか、必要な時は暴力も利用するとか、種族が違っても愛は肯定しようとか、そんな感じのやつ)。

 

この作品本当に面白いんだけど、面白いだけに色々気になってしまう。俺の雑な予想なんて軽くひねって上回っていってほしいと思いつつ、軽く寝かせることにした。

 

■ブルーピリオド 

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

かなりおもろい。

 

堅実な人生を器用に進んでいた主人公が美術にのめり込む話で、あらすじを読んだ段階では美術に興味の無い友達といざこざがあったり、最終的に仲直りしたりとか、そういうクソ展開があるんだろうな~とか予想していたのだが実際はそんなことはなかった。

主人公の不良友達は、むしろ打ち込むものを見つけた主人公を素直に応援してくれるし、めちゃくちゃ気を使ってくれる。

 

本筋は主人公がひたすら美術を打ち込んでいくもので、素直に良い。作者のツイッターを見たら「美術スポ根」という表現が使われていたが、個人的にはしっくりこなかった(題材が芸術である為、同じ志を持つライバル兼友人との競争よりも、最終的に主人公は美術で食っていけるようになるのか?という点の方が気になる)。 

 

 

唯一引っかかっているのは作中疑似ヒロインの龍二。彼は女装して女性として振る舞う、オタク的には男の娘としてカテゴライズされるキャラなのだが、序盤から丁寧に布石が打たれており、大きなドラマへと繋がっていく空気を匂わせているのだけれど、それが訪れる気配が無い。現時点では、描写されている布石も、先の展開が気になるフックとしては弱く、公園で心の叫びが漏れるシーン以降は急激に存在感が消えていく(にも関わらず布石は打たれ続ける)。

 

こういうの、アニメ版デレマス二期の島村卯月を思い出してしまう。アニメ版二期の卯月は、他のみんなができることをできない描写がほのめかされ続ける。終盤でスポットが当たるまでは空気、当たって以降は色々あってご都合展開で乗り越える...という、そんな感じのキャラだった。

 

この龍二の描写のされ方と作中の存在感のズレは、作者の筆のノリによって優先順位を下げられたのかと感じてしまうくらいには違和感があるのだが、私的には龍二以外のメンツと主人公が切磋琢磨している描写の方が好きなので、龍二はもう本編ではフェードアウトして、彼個人のドラマはスピンオフとかにしてもらっても構わないくらいの認識。

 

 

■アクタージュ

 

アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

主人公の見た目が好みなので読みました。

 

1巻時点では主人公が天才SUGEEムーブしながら人間社会の立ち回りをお勉強していく話になるのかと思い、 ちょっとげんなりしていたのだが、途中から気にならなくなり面白く楽しめた(エキストラとして撮影をぶち壊すシーンは引いてしまった)。

 

萌え漫画で有能な女の子が掃除下手くそで部屋がすげえ汚かったり、料理のセンスが壊滅的だったりするアレのように、秀でた能力を持つキャラクターは、欠点がそのままチャームポイントとして扱われやすいのだけれど、アクタージュの場合、天才の主人公がその能力を発揮できない未熟さが指摘され、その改善に尽力する展開が基本になっているためか、あまり鼻につかない(本人も役者以外の道が無いと認識しているため必死だし苦悩もする)。また、主人公の命がけの演技が周囲にバフをもたらす=結果として作品の質は向上するというのも心地よい。

 

足し算方式の物語なだけに、残されている成長の余地を作者が今後どのように展開へ組み込んでいくのか、あるいはその路線を続けるのか、見守っていきたさがある。