ここ数日腰を据えてシャニマスを味見している。
記録がてら、シャニマスPと[空と青とアイツ]芹沢あさひについて感想を書いていく。後者のコミュネタバレがあります。
■シャニマスP
最近のストーリー展開で年齢は20代後半くらいだと推定されたらしい。
プレイヤーの分身としてではなく、血肉と人格を持つ匿名のキャラクターとして描写されているのだけれど、シャニマスPはアイドル達の現在を眺めながら、自分が10代だった時の感覚や行動を思い起こして立ち止まる時があり、それがやけに社会人プレイヤーの心境とシンクロを起こす時がある。
コンビニの前でたまたま出会っためぐるとの会話の中で、もう二度と戻れない学校生活を思い返すコミュが多分代表的な例なんじゃないかと思う(詳細な世間評まではチェックできていないけれど、あのクオリティで取り沙汰されないということは無い筈)。
何か自分の過去体験と重なる余地のあるものや状況に遭遇するとすぐさま懐古を起こすプロデューサーの姿は自然なものであり、作中でも特に問題視はされていないように感じた。
ただ、そんなプロデューサーに違和感なくシンクロして懐古を堪能するプレイヤーの前にひとりの怪童があらわれる。
芹沢あさひである。
■[空と青とアイツ]芹沢あさひ
そもそもこのゲームをかじることを決意したのは、このキャラのシナリオ感想を目にしたことが発端だった。[ジャンプ!!スタッグ!!!]あさひのTRUEやストレイライトのイベント、感謝祭シナリオを先に完了させたうえでとりかかった。
自由奔放に振る舞うあさひを、Pは基本的に一歩引いて大人の立場からやさしく導いてきた。性格から来る練習欲や集中力に対して行き過ぎることがないよう自制を促し、習熟した事をこなすだけではすぐにモチベがなくなる彼女を人相性抜群のユニットに組み込んでみせる(ストレイライトの互恵関係は大変すばらしい)。
[空と青とアイツ]芹沢あさひシナリオでのPは、彼女の導き手としてではなく、彼女が持つ輝き(あさひのような子供だけが持つアウラ)に魅せられる面が主体になっている。単なる倉庫にあれこれ持ち込んでどんな基地にするか悩むあさひ、空をつかまえてくるあさひ、とりわけ強烈に印象に残るのは街で購入したバットだろう。
あさひが「未確認飛行体を打ち返す」と豪語して街の往来でバットを振ってみせるのに対し、Pは過去の思い出を語るだけで、ただバットを一瞬手に持って重みを感じるだけで満足してしまう。
そんなPに対してあさひはバットを振らなくていいのか?と確認を行う。
Pはもう満足したと返答し、あさひは以下の画像にある反応を見せる。
あさひのみずみずしい行動にあてられて、若い頃はそうだよねえ、俺も昔はねえ~とプロデューサーと一体化していた脳内ジジイオタクの俺は、ここで何か図星をつかれたような気分になり、頭の天窓が開いた心地がした。
■余談:バットについて
プロデューサーの紳士的な警告を受けて芹沢基地は撤去されたが、奇妙な家賃と、なぜかバットが律儀に残されていた。Pが忘れてるじゃん!と苦笑しながらツッコミを入れてオチる為、多分作品のお作法的にPの解釈が正しいという空気が出ているようにも感じるけれども、俺の中ではあくまでバットが残された理由は解釈の余地を残しておきたい。だいたい以下の2つ。
①購入時は特別なバットと言っていたけれど、結局Pが指摘した通り、あさひはバットの存在自体を忘れてしまった / そもそも未確認飛行体を打ち返すために購入したものであり、基地とは直接関係していないとあさひに認識されていたのでそのまま放置された
②持っていると凄いことがあるかもしれないというお店の人のコメントを憶えていたあさひがあえてゲン担ぎの為に倉庫に残しておいた
俺はどっちかというと前者の方が刹那的な輝きを求めるあさひっぽい気がしている(今は楽しくやってるけどいつかこのバットのように置いてかれるんだろう、むしろ置いて行かれたいという個人的な性癖にも合致する)。ただあさひの場合①と②どっちもあり得るし、②のつもりでそのまま忘却して①に発展するというケースもありえるし、どういう解釈でもあさひの枠に収まってしまうから無理に絞らなくていいなという感覚。
あさひにとっての特別はあさひが選択していくものであり、その心中全てを推察するのはプレイヤーの役割ではないし、シナリオの作風的に、全てをくみ取ることは不可能だろうと思う。Let it be 芹沢。
■余談2:冷めたコロッケ
最終コミュ手前で挿入される冷めたコロッケの話、浮いてね?と思ったけれど、実はコミュ全体的に懐古厨寄りだったPを救済する意義があるのかもしれない。選択肢次第ではあるが....。
分岐する展開は3つ。あさひのプランをそのまま受けるか、一瞬昔話を語ろうとしてすぐ空腹に打ち切られ関心が現在へと収束するか、今ある環境を最大限に活用して可能な限り冷めたコロッケを美味しく食べようとするか。
最後の3つ目では、コロッケといえばやっぱりキャベツも、と言うPに対してあさひはたまごサラダがいいと返す。それがあったら最高だけどさあと口ごもるPに対して不満そうに沈黙する...だが最終的にPは、冷めたコロッケを最大限に堪能するため、コンビニへ行こう、たまごサラダも調味料も全部買ってしまおうと提案する。それを受けたあさひの笑顔を受けてコミュが幕を閉じる。
Pがいま一番いいものを妥協せず体験しようと働きかけ、あさひが笑顔を浮かべている。俺はここに暗喩的なものを感じてしまうのだが、流石に考えすぎというかそう思いたいだけなのかもしれない。