(感想) Ghost of Tsushima / 古見さん / ファイト・クラブ

 ■Ghost of Tsushimaをクリアした

結構面白かった。

 

ゲーム的な面ではIGN JAPANのレビューと感想が一致している(余談だが、ゲームメディアを読む上で感性が近い、すなわち主観的に信頼できるゲームライターを"発見"することはかなり大事だと常日頃より思っている。俺にとってクラベ・エスラ氏はその一人だ)

 

jp.ign.com

 

 この作品で対立しているのは名誉を重んじる侍か、実利をとる冥人かという概念ではない。境井と志村という個々人が保持するスタンスだ。序盤から最後までひたすら2人の対立が描かれている。ゆなや石川先生や政子etcはただその対立の周囲に存在しているに過ぎない。蒙古兵もこの対立の元凶程度の存在感に収まってしまっている。この点において、シナリオ的な完成度は『RDR2』の後塵を拝する形になっているような感覚もある。

 

しかし自分としてはこの潔さがかえって心地よく、メインストーリーはやり甲斐のあるものだった。もう少しサイドクエストにもハマれていればさらに楽しめたかもしれないが...自分向きの内容には当たらないものがほとんどだった。典雄とかいきなり湧いて出てきたからあんまり興味わかなくて放置してもうた。

 

古見さん

19巻を読んだ。

 

複数ヒロインが同じ相手を想っていることを互いに明示して健全に並んでいこう!とかやりだす流れが心の底から苦手だ。物語の展開の幅が狭くなってしまう。万場木。初登場時は展開を広げてくれるキャラだと期待していたのだが、文化祭のイベントを経て古見さんの選択肢が制限され、万場木の選択肢も制限され、ふたりに挟まれている時の只野くんも同様になってしまったように見える。単なる経験則だが、この展開が発生して以降に面白いと思えた作品がマジでこれまでの人生にひとつもない(五等分はここらへん公平にいこうぜってやったあとに一・二・三が平気で出し抜きあうし四は秘匿、五は無自覚なのが捻ってて良かった)。

 

誰が言ったか、人間は常に自分にとっての真実の餌食になってしまう生き物だとか。結局作品の完成度ではなく自分の好みの方向から外れてしまったから興味が薄れるいつものパターンに陥っているところだが、最後まで見守りたいくらいには愛着がある。

 

ファイト・クラブを観た(2回目)

昔見た時は言葉選びや描写はテンポいいけどつまらん映画だなあ、マーラのキャラが薄いからこいつが出る場面は観なくてもいいかなくらいの感覚だった。

 

しかしこのタイミングで視聴すると意外に楽しむことができた。マーラが出る場面は相変わらずつまらんし、メイヘム計画が始動して以降は退屈だったが、苦痛をスマートに扱っている点が前よりも肌身で感じられた。モノへの欲望を疎んだ主人公が、他人の生命の苦しみや嘆きを利用しての安眠をマーラによってはく奪され、代わりに自己破壊の催しである『ファイト・クラブ』を創設し、苦痛を引き受け、自覚する当事者へと変質していく・・・聖痕のようにしてタイラーに火傷を刻み付けられるくだり、コンビニのバイトをする学生に銃を突き付けて会話するくだりがクライマックスである。

 

タイラーの正体探しが始まる終盤は作品としては退屈だが、自己を越えて他者へ破壊が及んでしまった自らの過ちを自ら終わらせに行くのは、苦痛と向き合うというテーマと一貫している。とはいえ肝心の終盤のタイラーが「俺を認めたほうが楽になる」みたいなことを言い始めるわけで、主人公の自意識であることは承知しとるけどお前キャラがブレとるやん。主人公にとってはタイラーの暴走こそが彼にとっての『苦痛』であり、その責任を引き受けるためにこそ奔走しているというのに、当事者のタイラーからは自己破壊関連で魅せたカリスマ性が失われ、単なる破壊者になってしまった。魅力あることや人からそれが失われるのは耐え難いものだ。