2024年1月~3月に遊んだゲームの感想

 

龍が如く7 外伝 / 龍が如く8

良作。

 

龍が如くシリーズはジャッジアイズの成功や7の巻き返しで輝きを取り戻したものの、6の負債をどうするかという課題が残っていた。シリーズの看板キャラであり初代主人公、桐生のキャラ造形はいかにも”義侠心に溢れる漢”そのものであり、それ故に桐生が行き着いたのは究極の自己犠牲(社会的な存在の抹消)で、面白いか面白くないかでいうと全然面白くはない。好きなキャラがなんか不幸になっちゃったけど今更どうして?くらいの温度感だった。

 

8で桐生が春日に対し自らが引き受けると宣言した『ヤクザの過去』は、龍が如くシリーズの美点と汚点両方を併せ持っていると捉えることもできる。桐生は2冒頭以降はカタギになっているにも関わらず、やはりヤクザ達が巻き起こす問題をヤクザの感覚(義侠心と腕力)で解決していくし、魅力あるキャラクターとしてのヤクザ同士のぶつかり合いが人気の基になった。だが桐生がファン層からもカタギ(笑)と揶揄されるように、桐生はヤクザ的な生き方を抜け出せず、事実上”良いヤクザ”に甘んじるままとなってしまっていた(5序盤のままタクシー運転手として生きていられていたなら...)。それはシリーズが桐生と共にマッチョの価値観から抜け出せないまま、それを貫いたことによって自己犠牲に行き着いてしまった。

 

7外伝ではこうした従来の作風に終止符を打つかのように「極道の夢なんてのは毎日を一生懸命生きている人からすればゴミみてえなもん」と桐生が断言しているし、8終盤ではヤクザとしての負債を引き受け、マッチョな価値観から解放されて素直に生きるようになった桐生の回答が、直接的な言葉と態度で敵対者に示されている。かといって桐生は別にマッチョ価値観を完全に喪失したわけではない。より良い生をおくるために大事な芯は残したまま在り方をすこし変えただけに過ぎないが、絶妙な塩梅で過去作の負債を打ち消し、真の桐生完結編としてふさわしいタイトルとなった。

 

未来を引き受けた春日サイドのほうはというと、ハワイに渡る原因になった実母・茜とのエピソードも含め少々インパクトに欠けるところがあったが、物語の導入を力強いものにする役割を持ちつつ7のその後もしっかりと描いているし、敵対者との結末をきっちりと描き切ることに成功している。どうしようもない悪玉は殴って終わらせるが、まだ善玉に戻れる範囲の悪玉には積極的に手を差し伸べて見せる姿勢、好みは分かれるかもしれないが俺は好き。

 

ゲームとしては7外伝・8ともに良ゲーだったがもちろんprosあるところconsあり。

 

・大型サイドストーリーのシナリオを覆うマンネリズム

7外伝のランブル、8のドンドコ島とスジモンバトルはシナリオ面にうんざりしてしまった。①紋切型の善玉と悪玉の対立があり、②主人公が善玉側に介入して問題を解決し、③なんやかんや事情のある悪玉側も改心したりしなかったりしてハッピーエンドの流れを無機質に繰り返すのみにとどまってしまっている。記憶はあやしいが0も全くこのフォーマットではなかったか?悪玉側もとりあえず四天王を出すというところまでほぼテンプレ化しているだけで大した掘り下げもなく...。おまけ要素の域を脱するだけの魅力的なゲーム性をひねり出すことには成功しているのにシナリオが退屈なのでなおさら残念に感じてしまう。

 

・8シナリオ粗多すぎ問題

終盤に差し掛かってから、それまでを振り返るといやアレは何だったんだ?みたいな疑問が雪崩のように押し寄せてくる。登場人物の1人が突然フェードアウトして再登場時はいきなり汚い髭面になっていたりなど説明不足な描写も目立つ。

主人公も交代したし、如くシリーズってそういうものだから...のような様式美でフォローするにはいい加減苦しい。

 

 

大事なテーマを丁寧に書ききることには成功した8だが、まだまだシリーズとしてより面白くなる余地は残されており、次回作以降でどのような変化を見られるかを楽しみにしている。

 

 

 

ユニコーンオーバーロード

良作。

 

ヴァニラウェアといえば美少女キャラを軸にしたヴィジュアルと芝居がかった台詞で繰り広げられる長編ストーリーが魅力的で、ぶっちゃけゲーム性は二の次として見ていた(”13機兵”も”オーディンスフィア”もそういう感想だった)のだけれど、今作はSRPGとしてのゲーム性とヴィジュアルの両面を充実させてシナリオは薄めとなっていた。

 

ゲーム性が優れているといっても高難易度ゲームというわけでもなく、とにかく装備・編成・作戦を整えて最強の部隊をたくさん用意し、うまく型にハメて敵を蹂躙する類の爽快感を満喫できるデザイン。エキスパートモードでのアイテム使用回数制限のせいでかえってプレイングの自由が狭められているように感じた(設置アイテムとかもっとガンガン使いたかった)が、慣れるにつれアイテム使用を勝手に縛るようになり気にならなくなった。俺の考えた最強部隊が出そろった終盤はもう蹂躙するだけのゲームとなってしまったがそれはそれで気持ちいいので良し。

 

もともとシナリオを重視していないっぽい作品とはいえ、エルヘイム編を終えた後のバストリアス編やアルビオン編はあからさまにシナリオのパワーが低下していてすこしこたえた。ダークソウルのアノール・ロンドを思い出した。

 

最近は洋ゲーや国産大手など厳重な暗黙の了解がプロトコールめいて運用されている作品ばかり遊んできたので(NIKKEを除く)、いざセクシャルさを全開にしたキャラクターがガンガン登場するゲームを遊んで脳がくらくらした。これは嬉しい側の立ち眩みです。

 

FF7 Remake

不満。

 

発売当時はそれほど7に思い入れが無かったこともあり、いつまで延々と派生させ続ける気なん?という感情になり積んでいたが、Rebirthの評判がかなり高かったので評価を誤ったかもしれぬと最初からプレイし直した。

 

人格面でのクラウドが早熟を気取っているだけの未熟者に過ぎないという点がめちゃくちゃ強調されていて、これでは大事な後々の展開(無印クリア済の層は知ってるエピソード)の衝撃度が落ちるのではないか?と思ったが、割とあっさり、おおざっぱに言うところのパラレルワールドであることが開示されてやはり萎えた(厳密には完全なパラレルワールドに至ったのは最後の最後だが)。『運命』概念をそのまんまフィーラーとして登場させた挙句、フィーラーのおかげで命を取り留めたレギュラーキャラなんかもいるなかで結局最後は命の恩人でもあるフィーラーを倒して『運命』を乗り越えるストーリー...

 

オリジナルの7の筋書き自体は結構好みだったので、もしこれがすべての瑕疵を塗り替えてより”万全”な世界を生み出すための修正や追記に過ぎないとしたらとんでもないナンセンスだし、さすがにそれは無いと思いたいけど実際はそっちに向かっているんじゃないか?と嫌な予感が頭をよぎる(別のスクエニ大手タイトルでも実際にそういう展開があった)。

 

いちおうRebirthを触る予定ではあるが、もし無印のたどった世界を否定してもっと良い世界線にたどり着けるんだ!いけました!みたいな、傲慢なハッピーエンドに着地するだけの気配が出たら迷いなく中断して記憶から消し去ることになると確信している。とはいえビッグス・ジェシー・ウェッジをああ扱った上でそうなったら本当に最悪なので、さすがにそうはならんよな...?とかすかな希望ものこしてはいる。

 

フィーラー絡みで嫌な点が多すぎてネガティブなことばかり書いてしまったが、力のある大手タイトルでしかできない高品質すぎる過剰なこだわりが随所にちりばめられており、そのクオリティが奇怪極まる絵面のウォールマーケットにも遠慮なく注がれているのはかなり良かった。まったり会話してるだけの退屈なカットシーンちょくちょく挟まるという点でPS2時代のJRPGの嫌な面を連想していた本作だが、蜂蜜の館のダンスシーンのようなスタッフの熱量が伝わってくるバカバカしさを目にしていると、こういうヘンテコなところをもっと盛り込んでくれるなら期待できるな!とも思えた。

 

思い切ったシナリオや製作期間も含め、いろんな意味で極限までぜいたくなおもちゃ箱。7のリメイクシリーズの評価はRebirth以降に委ねられている。インターミッションを経てプレイする予定。

 

新しくなった戦闘システム自体はけっこう好み。

敵の状態異常が凶悪すぎる点だけはかなり面倒だったので次回作で改善されていることを祈る。

 

■AI ニルヴァーナ・イニシアチブ

かなり不満。

 

新AIのタマのキャラデザは文句無しだし、前作ソムニウムファイルと異なりプレイヤー自身が推理をさせられる場面が激増したことで謎解きADVとしての質は向上していたが、凝らされたすべての工夫やギミックがとある真相にたどり着くため専用のものとなっている上、その真相自体がわざわざ提示する意義も無ければシリーズ作品としての味わいを損ねているだけになっている。新主人公のうちの1人である龍木さえもそのためだけに存在しているギミックに過ぎない。哀れ。

 

過程がそれほど悪くなくても導き出される結論が最悪なので、いまどきそれ単体で雑に出して本当に飛び道具として機能するとおもったの?と感じたし呆れてしまった。3作目が出ても買うか怪しい。

 

■エクスアストリス

微妙。

 

強い不満は無いが高揚感も無い、平坦な味わい。

シナリオにのめりこめなかったのが大きい。

 

独自の世界設定はかなり練られているようなのだがキャラクターのバックボーンにせよ作中では知りえない情報がゲーム外に記載されていたり、エピソード1時点で知らない人と知らない人が第三の知らない人の変化のぜひをめぐって争っていてなぜかそこに加担することになったりとか(ヴィーは立場的にわかるけどイエンはただの調査員だよね?)、イエンとヴィーが一緒に行動し続ける必然性も不明なままあっさりとロードムービーめいた旅路になり、またそこで知らん人同士の対立が...みたいになったエピソード2導入で気力がほとんど尽きていた。

 

バトルシステムは新鮮味があったが、ハイパーグリフ特有のおしゃれ優先UIによって今自分のパーティーがどちらのスキルを使用できるのかなどの情報をぱっと見で判別できなかった。またダンジョンパートで移動する台を飛び移る必要があるのだが操作性が劣悪なうえ、操作を誤ると見えない壁すらなく普通に落下死してしまう点もストレスが高かった...(予想以上にパズルも多かった)。

 

2023年にプレイして印象に残ったゲームを振り返る

 

■Hi-Fi Rush

bethesda.net

傑作!完全新規タイトルとしては2023ベストか。

 

かつてデビルメイクライがバトルを軸としたアクションゲームにスタイリッシュランクという概念を持ち込んでから22年が経ち、様々なタイトルが出てきたが、DMCで初登場したスタイリッシュランクを超える斬新さを魅せつけるコンセプトは中々みあたらなかった。ワンパターンではなくバリエーション豊富なコンボを使い分け、敵の攻撃をぎりぎりで回避し、敵を挑発する余裕さえ見せる...華麗に戦うことがゲーム内で評価され、それがキャラクター強化素材の入手量(リワード)に変換されるその満足感ときたら!そんなDMCに思い入れのある俺もHFRには久々にやられた心地がする。ゲーム内の情報全て、ステージのオブジェクトから体力バー、主人公の待機モーション、敵の攻撃タイミングに至るまで全てが一定のビートを刻んでいる。アシスト機能でいわゆる譜面を出すこともできるが、いわゆる音ゲーの元祖として見られる『パラッパラッパー』も最終的には譜面を無視したアドリブに誘導されていたことや、目押しだけで音ゲーを成立させないよう譜面を消し去った『リズム天国』等、過去のリズム系名作を考慮してもこの機能はオフの方が楽しめる。譜面より808とチャイを眺めたほうがおもろい。

 

カットシーンがテンポ良し演出良し曲も良しで楽しく眺めつつシームレスにゲームプレイへ移行できる点もかなり評価が高い。過去のtangoゲーをプレイしたときはサイコブレイクもGhostWire:Tokyoも、PS2時代の微妙な和ゲーを彷彿とさせるようなカットシーンの退屈さが苦痛で序盤で投げていたが、今後は期待のゲームディベロッパーとして新作を楽しみに待ちたい。

 

■AI ソムニウム ファイル

www.spike-chunsoft.co.jp

 

けっこうおもろかった。

 

最初は主役回りの主要人物だけキャラデザの外連味が濃い印象に引っ張られていたがまあまあふざけたギャグも多く、ラノベっぽい雰囲気にはマッチしている。

ジャンル的にはミステリに入る?が、プレイヤー視点で可能な推理レベルはだいたいアイボゥが全部やってくれる(逆にそれが真実ではないとわかってしまうメタ構造の問題も抱えているが)。主人公の役割はいっそプリミティブで、フィジカルを前面に押し出して無茶な捜査や戦闘をこなしたり、直感に任せてロジックがほとんど役に立たない不条理な世界の解明を指示したりなどする。

 

真相も到達してしまうと相当な破天荒寄りだったり、製作者のコメントつきのゲーム情報アーカイブも含めた男性向けにかなり寄せた要素、シリアスのはずのバトルシーンに突然差し込まれるエロ本無双など瑕疵も目立つが、大事なシーンをしっかりやりきることでだいたいエンタメとして成立している。

 

続編のニルヴァーナ イニシアチブもプレイ予定だが、みずきが年齢とか諸々で大きく変化してるっぽい雰囲気があってキャラクター萌え的にはパワーダウンしないかやや不安。

 

楽しく遊べた今作だが、どうしても嫌悪感を払拭できなかったキャラもいた。ネットアイドルオタクの追太。母親頼り散財食いつぶしニートで、大好きなネットアイドルを追いかけることに魂を燃やしているとしつつも自作自演で仲良くなっておりその点は最後までアイドル本人は気付かれない(一線を越えないよう拒絶はされている)、キモいだけで面白さに接続しない2000年代じみたオタク向けパロディ台詞の連発、作中でしでかすとんでもない行動に本人はヤバい自覚がないどころか酔いしれていたりする様子....そしてその全てが根っこは善性だから、というフワッとした理由で許容されているなど旧時代によくいたエンタメ作品ノイズの代表格みたいな存在が妙に印象に残ってしまった。続編では何の情報も無く消し去ってほしいまである。

 

■Baldur's Gate 3

www.spike-chunsoft.co.jp

傑作!

 

発売が年末なのでクリアしたのは2024年だが、RPG大作のエンディングを情感豊かに噛み締められた体験は本当に久々。ゲームにおいて重要な自由度とは広大な、オープンな世界の散策可能な場所の数の大小ではなく、緻密に作りこまれた箱庭のなかでとれる行動やそこから派生する結果の幅の大きさではないかと強く認識させられた。、ただし自由度の高さを代償にUIや操作感はそこそこ犠牲になってはいる。

 

かなり高いゲーム性を誇る本作だが癖は強めなので人を選ぶのはわかる。とはいえBG3に対してクソゲーという呼称を躊躇なく使う人間はあらゆる意味で信頼には値しないと目されること間違いなし。過激な言葉を使いたくなったら一度深呼吸したほうがいい。

 

■Cyberpunk2077:Phantom Liberty

www.cyberpunk.net

 

傑作。拡張コンテンツでながら、久々にプレイしなおした本編とあわせると体験としては2023ベスト。「仮初の自由」を終えたあとに進む死神・太陽ルートの味わいはとんでもなく爽快で、Vの未来により希望を見いだせるようになった。

 

余談。"cp2077"という公式略称が日本人にはあまり浸透しておらず、"サイバーパンク"とか"サイパン"と呼ばれているのを見かけるたび、俺の中のギアッチョが心中で「それってただのジャンル名になるだろうがよォ~~~~お前は『スクール・オブ・ロック』を観た後に”ロック”と略して呼ぶのか!?」と叫んでいる。そういう層にも届いているくらいスケールが大きい作品の証左ではある。あるのだが...("BG3"は一瞬で定着したっぽい空気があるだけに一層残念)。

 

アーマード・コア6

www.armoredcore.net

 

傑作!

 

もともと新規プレイヤーから既存ファンまでうならせるポテンシャルを持っていたロボットシューティングゲームとしてのコアコンセプトに、まさしく最新作たらしめるストーリーテリングやキャラ付けが丁寧に施されている。

 

しいて気になる点を挙げるならオンライン対戦でもロックオンアシストが使用可能なことに驚いたくらいか(初期verだったので今はもう不明)。

 

■Library of Ruina

store.steampowered.com

 

相当なコアゲーマー向け作品で、難易度に耐えられるマニア向けの佳作。

 

ハードな世界観と過酷すぎる戦闘をターン制カード?バトルでやりきっている。

だがストーリー面においては、終盤が人情系として丸くたたんでしまう味わいになっている点がネックか。俺の中ではヤン君のたどり着いた答えまでがピーク。

 

 

■XCOM2

store.steampowered.com

名作!

 

俺にSRPGの楽しさを初めておしえてくれた偉大なゲーム。XCOM2をやったおかげでBG3をクリアできた。

 

バイオハザード ヴィレッジ / バイオRE4

どっちも名作!

 

俺たちのバイオハザードって4までだったねとか友達と語っていたのも、7の発売を皮切りにすでに遠い昔のこととなった。5・6のアクション無双路線をうまくチューニングして緊張感のあるサバイバル・アクションへと再転換させ、様式美を残しつつ新しい色どりを吹き込む手腕にもうメロメロ。

 

ただ、クリスを戦わせ続けたいっぽい路線がやたら強硬な点だけは本当に気になっている...6のピアースといいヴィレッジのイーサンといい、本当にそこ要る?ただの悪しき習慣じゃね?と思わなくもない。

 

モンスターハンターライズ サンブレイク

www.monsterhunter.com

 

名作!

 

モンハンシリーズは過去何度も挫折してきた。GもP2GもWorldもだめ...と折れかけていたが、狩猟シミュレーター的な側面を投げうち、大胆なまでに狩猟アクションの快適さにフォーカスした『ライズ』は相当に楽しく遊ぶことができた。ガンランスを握って龍を狩り続ける一般ゲーマー実績を解除。

 

■アークナイツ

www.arknights.jp

 

相変わらず安定して面白い。

 

初期時代の、言ってしまえば不穏な未来をにおわせる情報のちりばめといつ回収されるのかもわからない謎の伏線の多さを年数かけて回収・拡張してきたが、イベント『孤星』で大作SF小説じみたストーリーを拝ませると同時に作中世界観の大きな謎を一挙に明かしてしまい、さらにこれに孤星で明らかになった世界の真実を前提とした『アークナイツ エンドフィールド』のグローバル情報解禁やミヅキローグライクの最終エンディングの展開など、ゲーム内外の動きもとびぬけておりまだまだ目が離せない。

 

強いて気になる点を挙げるとすれば、テレジアまで引っ張り出した割にはメインシナリオのヴィクトリア編があまりにも面白くないことで、初期アークナイツシナリオの悪習(閉塞感や不穏を長期間こすりまくるが物語はたいして進展していない)をなぞっているだけに見えてしまう。ちゃんと面白いイベントシナリオはこのヴィクトリア編終了後の時間軸で展開されているのでなおのこと...。サルカズと難民の悪意のぶつけあいより、『登臨意』で満を持して登場したワイフー父がプレイアブルにはならないけどしっかりした強者で最後にはそれ以上の強者との死闘に挑むさまとか、どうしてもそっちの方が面白いのはもう仕方ない。下地からしてエンタメにいける幅が違いすぎる。それでも本編は本編としてちゃんと大事にやってほしいという欲目はある。なにせドクターらのガチエピソードすらもイベントシナリオでやっているのだから、本編でしか見れないアーミヤの活躍くらいは面白く読みたい。

 

■無期迷途

www.google.com

 

数か月サボッたりしたがまあまあ面白い。

 

無期迷途のいいところはやはりシナリオで、悪意にまみれ、苦渋に満ちた世界をかろうじて耐えながら生きている弱者と力強く生き抜いている強者、双方の描写がバランスよくうまい。また強者側に少なからず悪人が含まれており、その行き先が綺麗なだけのストーリーに帰着しない点も刺激的なスパイスでイイ。このゲームを独りで開幕から遊んでいたひふみさんが「悪い女を描くとき異常に筆が乗ってる」と言及していたが全くそのとおり。イベント『飽くなき宴』のカベルネの生き生きとしたさまは本当にすばらしい。

 

シナリオ面は精神世界パート以外文句無いのだが、イベントステージの難易度があまりにも低いため、コンテンツ量が物足りなくなるのはやや気にかかる点。もうシナリオ読むだけなら育成いらないからイベント来たときだけ読めばよくね?という気持ちになりつつあり、永久離脱の可能性が高まってしまう(ブルアカもメインシナリオ制限撤廃後は育成モチベがゼロになってほとんどログインしなくなった)。

 

TDの期間限定イベントでちゃんと難しいステージを一定量供給するのも難しく、どれだけインフレの波が来てもいい感じのギミックでちょうどいいむずかしさに調節できているアークナイツがおかしいだけなのか。

 

勝利の女神 NIKKE

nikke-jp.com

 

新年イベの薄味っぷりとチェンソーマンコラボの酷さと諸々で一時期放置していたが、『Lisence to Kill』の時期からまたちょこちょこ遊んでいたところにハーフアニバイベ『OVER ZONE』が来たことでシナリオへの信頼度を完全に回復。なんやかんやで相変わらず楽しんでいる。

 

物語の着火剤兼潤滑油として活躍するドロシーをかなり好意的に見ている。疑いなく従属できた存在に裏切られて復讐を誓い、憎しみを糧に記憶も人格も保持し続けながらもなお迷いを捨てきれていない点、しかし垣間見せる弱さをもとに縋って来ようとはしないし、指揮官側も無理に距離を詰めようとはしない。今後も何かに肩を寄せることなく、揺らいだ世界で独り立っていてほしい。

 

 

2023年6月~11月にプレイしたゲームの感想 +α

 

■Cyberpunk2077:Phantom Liberty

大大大満足!現時点での俺的2023ベストゲーム

 

発売直後はバグとps4実質非対応問題で物議をかもし、ゲームに関する記事の信頼度が著しく低いメディアにも後出しジャンケンで雑に批判されたり色々あったCyberpunk2077は地道なフィックスとブラッシュアップを繰り返してとうとうここまで来た!"不完全版"と揶揄されていた初期verを改善しきったうえで膨大な新コンテンツやシステムの刷新を含む無料大型アップデートを実施、さらに拡張パックをたたきつけた偉業は素直に賞賛すべきだろう(初期verを後出しで過剰にあげつらっていた層──個人以外も含む──が、その後の改善については沈黙し続けているのが嫌なので強調しておきたいポイント)。

 

救いのない人生を送っているVを含めた4人の道が入り混じって生まれるドラマが肝のメインクエストはもちろん、ミスター・ハンズによるサイドクエストも粒揃い、かつて国に仕えた兵士ロバート・ジョン・リンダーとしての顔を見せるジョニー・シルヴァーハンドの存在感は本編終盤以上のレベルへ到達している。ゲーム的にはオルトとの再会後にDLCエストが開始可能になるが、ジョニーのキャラクター性は"Tapeworm"完了後の時系列で捉えてよい(なお、これは時系列的に矛盾や違和感が生じているわけではない。ドッグタウンという舞台とそこにいる人々は、ジョニーの元兵士としての顔を否応なく引きずりだす性質を持っている)。

 

俺は初見でワンドのキングルートを完遂することとなったが、あの激戦から生還したVでそのまま死神太陽エンディングに突入して気持ちよくナイトシティへの再訪を終えることができた。太陽ルートのVだけはモーガンと同じく不死の伝説に至れるだろうという確信の補強にもつながったのはうれしい(生きて帰ってきてMr.ブルーアイズになんかしてもらって生存するだろあのV。というかMr.Bの影響力には驚かされた。ナイトコープとあわせてOrionで掘り下げられるのだろうか)。

 

■XCOM2

かなりおもろかった!人生で初めてSRPGをゲーム体験として楽しむことができたかも(厳密にはガンパレ以来?)。

 

特に序盤のちょっと気を抜くとすぐに即死する新兵達を率いての戦闘の緊張感はたまらなかった。密着した敵エイリアンに命中率80%のARを外して散っていった新兵達の屍を乗り越えた一握りの生き残りの存在が部隊を成長させていき、戦線が安定していく...。

 

プレイ開始から数時間で神ゲー認定できるレベルの傑作。

 

残念な点を挙げるなら、

・ゲームのプレイ期限が実質存在しない(ゲームオーバー条件をいくらでも引き延ばせる)

 

・XCOMの戦力が完成すると一気にヌルゲーになってしまう(熟練コマンダー名乗るなら早期クリアしてねという実績もちゃんとある)。

 

・ルーラーの”味方が行動するたびにカウンター行動”がゲーム性を破壊しかねないほどには理不尽に強い。このレベルの相手とランダムエンカウントはまずくね?(当時steamのレビュー欄が荒れたらしい)。

 

■Library of Ruina

おもろかった!

ディストピア世界観で進行する、カードを軸にしたバトルシステムが独特でたまらない。人生でここまでハイランダーをしゃぶりつくした経験は無い。

 

途中までは2023ベストゲーの有力候補だった。インディーズらしい本当に骨太でハードコアに寄せたゲーム性には夢中になり(初期バージョンは色々めちゃくちゃでバランス調整が入ったらしいが)、こういうエネルギッシュなタイトルを遊ぶ体力やモチベがまだ残っているのを知れたのも含めて良い体験だった。最終盤のストーリー展開が予想よりもトーンダウンしていまいちノれなくはあったが、図書館に招待される彼らを通じてのローランとアンジェリカの物語自体よりも、招待客である彼ら自体のドラマは相当に楽しむことが出来ていた。

 

ただ、1回の戦闘のプレイ時間が本当に長い。突然初見殺しのギミックが飛んでくることもあるうえ、うまく処理できなければそれまでの時間が全部無駄になってしまうことも珍しくない。厳粛なゲーム性の裏打ちでもあるが...強力なカードを入手するための周回作業に苦しみを与えていた面もある。

 

本作をきっかけにLimbus Companyを始めた。

鏡ダンジョンのウィークリーノルマは苦痛なのでスルーしているが、ストーリー展開を楽しみにしている(これまでのProject Moon作品をクリア済が前提のストーリーにもなっている)。今後もプロムンゲーを遊んでいくことになりそうだ。

 

アーマード・コア6

めちゃおもろかった!cp2077plが無かったら俺的2023ベストゲーにAC6を挙げていたかもしれない。発売直後に購入してクリア。

 

ゲーム性等に関してはautomatonのレビューにうなずくマシンと化しているのでここに書くことが無い(アウトプット早出しをサボッているとよくある現象)。

 

automaton-media.com

 

ストーリー性やキャラクターの濃さを2020年代ナイズに色濃くされているし、シリーズファン向けには「お前◯◯枠だったの!?」と驚かせるような要素を終盤に打ち出してきて、なおかつ新規参入者も違和感なく受け入れられるような体裁に整えておりあまりにも優等生すぎる。特に中盤以降は戦闘をハードコアなものにするか、アセンブルをいじって攻略作業的に寄せるかもすべてプレイヤーに委ねられている...。本当にあのアーマード・コアか?スタッフ全員出木杉君なのか?(ガチ褒め)まあ厳格な面で見たら大味攻略で突破できちゃうじゃん!って意見があるのもわかるが、俺は大味攻略「も」できるゲームとしてかなり好意的に受け止めている。

 

 

>苦戦した戦闘(すべて初期バージョン)

・バルテウス 所要時間:2時間

第二形態のブレード回避できねえんだが!?と唸らされ、早々に”リトライ時アセンを組みなおさずの誓い”をやぶる展開と化す。パルスショット、SONGBIRDS、初期ブレと適当なミサイルに持ち替えたとたん処理できてしまい、今作の方向性を確認。

 

・シースパイダー 所要時間:3時間

運用していた重量2脚で、第一形態で被弾しまくったり第二形態の回転斬りを見てからの上昇がなかなか間に合わなかったりとでかなり泣きを見た。VCをつなげてプレイしていたフレンドにもシースパイダーを先に攻略完了されてしまい、シェアスクリーン機能を使いながら鬼の形相でACを動かし続けていた...。。

 

かなり迷走したが最終的にアセンはそれほどいじっていない、第一形態は張り付いて火力で早期決戦、第二形態は逆に回避を最優先し、スタッガー時以外はブレードを振りにいかないようにしたり、回転斬りをする際の移動を判別できるようになりぎりぎり上昇が間に合うようになったりするなど、プレイングでの攻略となった。

 

・1週目、ECHO(所要時間:3~4時間)

俺的本作最強ボス。

ターゲットアシストを使用せずプレイしていたのもあるがブレードが瞬間移動すぎてカメラを切られる+俺の重2で闇討ちブレードを回避しようとするとガチの目押しQBが必要になる、の2重苦。

 

突然タンクや4脚を持ち出したりと迷走していたが、最終的には被弾を避けようとし過ぎていたのが敗因と悟ってアセンを普段使いの重2に戻し、回避は最小限にして火力での早期決戦をはかることでギリギリ勝利できた。ま~~~~じで厳しかった...。

 

>スタッガーシステム

”跳弾”とあわせて肯定派。

地味に削り続けるだけの絵面では厳しい

(4シリーズではPAが用意されたりとかあったが)

 

SEKIROじゃん!って言われている点についてはうなずききれていない。

ざっくり書くと

 

・フロムが出してるゲームで体幹っぽいシステムがあるからSEKIROだ!と呼ぶのは、何年か前にだいたいのゲームが雑にソウルライク呼びされていたあの空気を連想させるものがあるからよくないと考えている

 

体幹ゲージ的な概念自体はそれほどユニークなものではない。SEKIROの場合は戦闘ののコアとしてかなり気合の入った設計と調整をほどこしているからこそ素晴らしいものとなっている

 

>ターゲットアシスト

俺目線だとこのシステムを使用しているともうACじゃなくてANUBISになっちゃうじゃんくらいのレベルで強すぎたため封印。新規プレイヤーの間口を広くするため、任意ならええんちゃう?派。

 

■GRAVITY DAYS 1&2

面白くなかった。。

 

ハードSFっぽい要素をチラ見せしてくるのに反して、サブクエストを含めたストーリーは児童向けで素朴。ストーリーの革新に迫りハードSF的要素を回収するとき、この素朴さをどのように反転させ、プレイヤーを魅せにかかるのか?と気になっていたのだが...。俺が表向きの面としか認識していなかった素朴さは実際のところ最後まで表面であり続けたし、明かされる謎も世界設定そのものというよりはキトゥンの過去関連が中心になっているし、結局光によって闇を退けるという王道ストーリーに終始していた。

 

好意的に受け取れた点を挙げると、重力アクションの”発明”はepoch-makingのレベルに達していてもおかしくはないポテンシャルを秘めていた...かもしれないと可能性を感じさせてくれた。ゲーム内でも自由度の高いアクションを制限することで一定のゲーム性を担保する方向に向かっていたのが惜しまれるが、重力キックの汎用性が高すぎたのも掘り下げの難しさに関与しているのだろうか...。

 

それから、シドーの秘密とキャラ設定は俺の好みど真ん中だった。

無私を強制されながらも彼なりのやり方でうまくルールの穴をついてキトゥンを手助けし、それを悟られることもない。キトゥンが記憶を取り戻し、真にあの時の続きを再演できる機会が訪れた瞬間、キトゥンは去って行ってしまう...。そしてあれだけ執着しながらも、エピローグでは彼女との再会をクロウに先んじられてしまう点も染みるねえ。

1ラストで取り出していた機械が2ラストのアレと同じとか、動画サイトで再確認しないと気付けないレベルの描写が多くて細部でプレイヤーの解釈を悩ませるわるいキャラでもあった。これは素朴な味付けで進行するシナリオに対してシドー関連の伏線描写が目立たなさすぎたのが原因と思われる。

 

大逆転裁判 1&2

あまり面白くなかった。

 

逆転裁判は1~4をプレイ。1~3は大満足で、4に失望してシリーズを触らなくなった(でも『ゴーストトリック』はDSでプレイした。おもろかった!)。

 

2最終編に関連する情報を”大きな謎”、その章内で完結する情報を”小さな謎”と定義するなら、1は大きな謎をプレイヤーに入念に投げかけるわりには各章の推理や裁判で明らかになる真相、小さな謎のパワーが弱すぎる。大きな謎は2最終編で回収されるが、ここまで引っ張ってきた成果をカタルシスとして受け止めることはできず、淡々と事件を解決して終わった。ただ、2では小さな謎が1より改善されており、まあ悪くはなかったとはいえる体験に仕上げられていた。

 

陪審員制度

テンポがめちゃくちゃ悪い。

事件に関連する重要な情報が最終弁論時の素人からぽろっと漏らされるし、2の2章までは素人的な一般市民が好き放題しゃべり倒すだけなので、裁判序盤から「有罪!」×5をやられるたびにああまたこれか...と冷めていた。

陪審員に専門家が混ざる2 3章は少しだけ挽回できていたかもしれない。

 

>推理劇場

推理あてはめ中の演出はかなり好きなんだけど、検討パートに入るまでが長すぎるため、最初のおふざけ推理パートは全部読み飛ばしていた。2 5章での遊び無しの推理劇場は素直に楽しかったので、最初からこれでやってくれていれば...!とやや歯がゆい気持ちになるなど