2023年にプレイして印象に残ったゲームを振り返る

 

■Hi-Fi Rush

bethesda.net

傑作!完全新規タイトルとしては2023ベストか。

 

かつてデビルメイクライがバトルを軸としたアクションゲームにスタイリッシュランクという概念を持ち込んでから22年が経ち、様々なタイトルが出てきたが、DMCで初登場したスタイリッシュランクを超える斬新さを魅せつけるコンセプトは中々みあたらなかった。ワンパターンではなくバリエーション豊富なコンボを使い分け、敵の攻撃をぎりぎりで回避し、敵を挑発する余裕さえ見せる...華麗に戦うことがゲーム内で評価され、それがキャラクター強化素材の入手量(リワード)に変換されるその満足感ときたら!そんなDMCに思い入れのある俺もHFRには久々にやられた心地がする。ゲーム内の情報全て、ステージのオブジェクトから体力バー、主人公の待機モーション、敵の攻撃タイミングに至るまで全てが一定のビートを刻んでいる。アシスト機能でいわゆる譜面を出すこともできるが、いわゆる音ゲーの元祖として見られる『パラッパラッパー』も最終的には譜面を無視したアドリブに誘導されていたことや、目押しだけで音ゲーを成立させないよう譜面を消し去った『リズム天国』等、過去のリズム系名作を考慮してもこの機能はオフの方が楽しめる。譜面より808とチャイを眺めたほうがおもろい。

 

カットシーンがテンポ良し演出良し曲も良しで楽しく眺めつつシームレスにゲームプレイへ移行できる点もかなり評価が高い。過去のtangoゲーをプレイしたときはサイコブレイクもGhostWire:Tokyoも、PS2時代の微妙な和ゲーを彷彿とさせるようなカットシーンの退屈さが苦痛で序盤で投げていたが、今後は期待のゲームディベロッパーとして新作を楽しみに待ちたい。

 

■AI ソムニウム ファイル

www.spike-chunsoft.co.jp

 

けっこうおもろかった。

 

最初は主役回りの主要人物だけキャラデザの外連味が濃い印象に引っ張られていたがまあまあふざけたギャグも多く、ラノベっぽい雰囲気にはマッチしている。

ジャンル的にはミステリに入る?が、プレイヤー視点で可能な推理レベルはだいたいアイボゥが全部やってくれる(逆にそれが真実ではないとわかってしまうメタ構造の問題も抱えているが)。主人公の役割はいっそプリミティブで、フィジカルを前面に押し出して無茶な捜査や戦闘をこなしたり、直感に任せてロジックがほとんど役に立たない不条理な世界の解明を指示したりなどする。

 

真相も到達してしまうと相当な破天荒寄りだったり、製作者のコメントつきのゲーム情報アーカイブも含めた男性向けにかなり寄せた要素、シリアスのはずのバトルシーンに突然差し込まれるエロ本無双など瑕疵も目立つが、大事なシーンをしっかりやりきることでだいたいエンタメとして成立している。

 

続編のニルヴァーナ イニシアチブもプレイ予定だが、みずきが年齢とか諸々で大きく変化してるっぽい雰囲気があってキャラクター萌え的にはパワーダウンしないかやや不安。

 

楽しく遊べた今作だが、どうしても嫌悪感を払拭できなかったキャラもいた。ネットアイドルオタクの追太。母親頼り散財食いつぶしニートで、大好きなネットアイドルを追いかけることに魂を燃やしているとしつつも自作自演で仲良くなっておりその点は最後までアイドル本人は気付かれない(一線を越えないよう拒絶はされている)、キモいだけで面白さに接続しない2000年代じみたオタク向けパロディ台詞の連発、作中でしでかすとんでもない行動に本人はヤバい自覚がないどころか酔いしれていたりする様子....そしてその全てが根っこは善性だから、というフワッとした理由で許容されているなど旧時代によくいたエンタメ作品ノイズの代表格みたいな存在が妙に印象に残ってしまった。続編では何の情報も無く消し去ってほしいまである。

 

■Baldur's Gate 3

www.spike-chunsoft.co.jp

傑作!

 

発売が年末なのでクリアしたのは2024年だが、RPG大作のエンディングを情感豊かに噛み締められた体験は本当に久々。ゲームにおいて重要な自由度とは広大な、オープンな世界の散策可能な場所の数の大小ではなく、緻密に作りこまれた箱庭のなかでとれる行動やそこから派生する結果の幅の大きさではないかと強く認識させられた。、ただし自由度の高さを代償にUIや操作感はそこそこ犠牲になってはいる。

 

かなり高いゲーム性を誇る本作だが癖は強めなので人を選ぶのはわかる。とはいえBG3に対してクソゲーという呼称を躊躇なく使う人間はあらゆる意味で信頼には値しないと目されること間違いなし。過激な言葉を使いたくなったら一度深呼吸したほうがいい。

 

■Cyberpunk2077:Phantom Liberty

www.cyberpunk.net

 

傑作。拡張コンテンツでながら、久々にプレイしなおした本編とあわせると体験としては2023ベスト。「仮初の自由」を終えたあとに進む死神・太陽ルートの味わいはとんでもなく爽快で、Vの未来により希望を見いだせるようになった。

 

余談。"cp2077"という公式略称が日本人にはあまり浸透しておらず、"サイバーパンク"とか"サイパン"と呼ばれているのを見かけるたび、俺の中のギアッチョが心中で「それってただのジャンル名になるだろうがよォ~~~~お前は『スクール・オブ・ロック』を観た後に”ロック”と略して呼ぶのか!?」と叫んでいる。そういう層にも届いているくらいスケールが大きい作品の証左ではある。あるのだが...("BG3"は一瞬で定着したっぽい空気があるだけに一層残念)。

 

アーマード・コア6

www.armoredcore.net

 

傑作!

 

もともと新規プレイヤーから既存ファンまでうならせるポテンシャルを持っていたロボットシューティングゲームとしてのコアコンセプトに、まさしく最新作たらしめるストーリーテリングやキャラ付けが丁寧に施されている。

 

しいて気になる点を挙げるならオンライン対戦でもロックオンアシストが使用可能なことに驚いたくらいか(初期verだったので今はもう不明)。

 

■Library of Ruina

store.steampowered.com

 

相当なコアゲーマー向け作品で、難易度に耐えられるマニア向けの佳作。

 

ハードな世界観と過酷すぎる戦闘をターン制カード?バトルでやりきっている。

だがストーリー面においては、終盤が人情系として丸くたたんでしまう味わいになっている点がネックか。俺の中ではヤン君のたどり着いた答えまでがピーク。

 

 

■XCOM2

store.steampowered.com

名作!

 

俺にSRPGの楽しさを初めておしえてくれた偉大なゲーム。XCOM2をやったおかげでBG3をクリアできた。

 

バイオハザード ヴィレッジ / バイオRE4

どっちも名作!

 

俺たちのバイオハザードって4までだったねとか友達と語っていたのも、7の発売を皮切りにすでに遠い昔のこととなった。5・6のアクション無双路線をうまくチューニングして緊張感のあるサバイバル・アクションへと再転換させ、様式美を残しつつ新しい色どりを吹き込む手腕にもうメロメロ。

 

ただ、クリスを戦わせ続けたいっぽい路線がやたら強硬な点だけは本当に気になっている...6のピアースといいヴィレッジのイーサンといい、本当にそこ要る?ただの悪しき習慣じゃね?と思わなくもない。

 

モンスターハンターライズ サンブレイク

www.monsterhunter.com

 

名作!

 

モンハンシリーズは過去何度も挫折してきた。GもP2GもWorldもだめ...と折れかけていたが、狩猟シミュレーター的な側面を投げうち、大胆なまでに狩猟アクションの快適さにフォーカスした『ライズ』は相当に楽しく遊ぶことができた。ガンランスを握って龍を狩り続ける一般ゲーマー実績を解除。

 

■アークナイツ

www.arknights.jp

 

相変わらず安定して面白い。

 

初期時代の、言ってしまえば不穏な未来をにおわせる情報のちりばめといつ回収されるのかもわからない謎の伏線の多さを年数かけて回収・拡張してきたが、イベント『孤星』で大作SF小説じみたストーリーを拝ませると同時に作中世界観の大きな謎を一挙に明かしてしまい、さらにこれに孤星で明らかになった世界の真実を前提とした『アークナイツ エンドフィールド』のグローバル情報解禁やミヅキローグライクの最終エンディングの展開など、ゲーム内外の動きもとびぬけておりまだまだ目が離せない。

 

強いて気になる点を挙げるとすれば、テレジアまで引っ張り出した割にはメインシナリオのヴィクトリア編があまりにも面白くないことで、初期アークナイツシナリオの悪習(閉塞感や不穏を長期間こすりまくるが物語はたいして進展していない)をなぞっているだけに見えてしまう。ちゃんと面白いイベントシナリオはこのヴィクトリア編終了後の時間軸で展開されているのでなおのこと...。サルカズと難民の悪意のぶつけあいより、『登臨意』で満を持して登場したワイフー父がプレイアブルにはならないけどしっかりした強者で最後にはそれ以上の強者との死闘に挑むさまとか、どうしてもそっちの方が面白いのはもう仕方ない。下地からしてエンタメにいける幅が違いすぎる。それでも本編は本編としてちゃんと大事にやってほしいという欲目はある。なにせドクターらのガチエピソードすらもイベントシナリオでやっているのだから、本編でしか見れないアーミヤの活躍くらいは面白く読みたい。

 

■無期迷途

www.google.com

 

数か月サボッたりしたがまあまあ面白い。

 

無期迷途のいいところはやはりシナリオで、悪意にまみれ、苦渋に満ちた世界をかろうじて耐えながら生きている弱者と力強く生き抜いている強者、双方の描写がバランスよくうまい。また強者側に少なからず悪人が含まれており、その行き先が綺麗なだけのストーリーに帰着しない点も刺激的なスパイスでイイ。このゲームを独りで開幕から遊んでいたひふみさんが「悪い女を描くとき異常に筆が乗ってる」と言及していたが全くそのとおり。イベント『飽くなき宴』のカベルネの生き生きとしたさまは本当にすばらしい。

 

シナリオ面は精神世界パート以外文句無いのだが、イベントステージの難易度があまりにも低いため、コンテンツ量が物足りなくなるのはやや気にかかる点。もうシナリオ読むだけなら育成いらないからイベント来たときだけ読めばよくね?という気持ちになりつつあり、永久離脱の可能性が高まってしまう(ブルアカもメインシナリオ制限撤廃後は育成モチベがゼロになってほとんどログインしなくなった)。

 

TDの期間限定イベントでちゃんと難しいステージを一定量供給するのも難しく、どれだけインフレの波が来てもいい感じのギミックでちょうどいいむずかしさに調節できているアークナイツがおかしいだけなのか。

 

勝利の女神 NIKKE

nikke-jp.com

 

新年イベの薄味っぷりとチェンソーマンコラボの酷さと諸々で一時期放置していたが、『Lisence to Kill』の時期からまたちょこちょこ遊んでいたところにハーフアニバイベ『OVER ZONE』が来たことでシナリオへの信頼度を完全に回復。なんやかんやで相変わらず楽しんでいる。

 

物語の着火剤兼潤滑油として活躍するドロシーをかなり好意的に見ている。疑いなく従属できた存在に裏切られて復讐を誓い、憎しみを糧に記憶も人格も保持し続けながらもなお迷いを捨てきれていない点、しかし垣間見せる弱さをもとに縋って来ようとはしないし、指揮官側も無理に距離を詰めようとはしない。今後も何かに肩を寄せることなく、揺らいだ世界で独り立っていてほしい。