2024年1月~3月に遊んだゲームの感想

 

龍が如く7 外伝 / 龍が如く8

良作。

 

龍が如くシリーズはジャッジアイズの成功や7の巻き返しで輝きを取り戻したものの、6の負債をどうするかという課題が残っていた。シリーズの看板キャラであり初代主人公、桐生のキャラ造形はいかにも”義侠心に溢れる漢”そのものであり、それ故に桐生が行き着いたのは究極の自己犠牲(社会的な存在の抹消)で、面白いか面白くないかでいうと全然面白くはない。好きなキャラがなんか不幸になっちゃったけど今更どうして?くらいの温度感だった。

 

8で桐生が春日に対し自らが引き受けると宣言した『ヤクザの過去』は、龍が如くシリーズの美点と汚点両方を併せ持っていると捉えることもできる。桐生は2冒頭以降はカタギになっているにも関わらず、やはりヤクザ達が巻き起こす問題をヤクザの感覚(義侠心と腕力)で解決していくし、魅力あるキャラクターとしてのヤクザ同士のぶつかり合いが人気の基になった。だが桐生がファン層からもカタギ(笑)と揶揄されるように、桐生はヤクザ的な生き方を抜け出せず、事実上”良いヤクザ”に甘んじるままとなってしまっていた(5序盤のままタクシー運転手として生きていられていたなら...)。それはシリーズが桐生と共にマッチョの価値観から抜け出せないまま、それを貫いたことによって自己犠牲に行き着いてしまった。

 

7外伝ではこうした従来の作風に終止符を打つかのように「極道の夢なんてのは毎日を一生懸命生きている人からすればゴミみてえなもん」と桐生が断言しているし、8終盤ではヤクザとしての負債を引き受け、マッチョな価値観から解放されて素直に生きるようになった桐生の回答が、直接的な言葉と態度で敵対者に示されている。かといって桐生は別にマッチョ価値観を完全に喪失したわけではない。より良い生をおくるために大事な芯は残したまま在り方をすこし変えただけに過ぎないが、絶妙な塩梅で過去作の負債を打ち消し、真の桐生完結編としてふさわしいタイトルとなった。

 

未来を引き受けた春日サイドのほうはというと、ハワイに渡る原因になった実母・茜とのエピソードも含め少々インパクトに欠けるところがあったが、物語の導入を力強いものにする役割を持ちつつ7のその後もしっかりと描いているし、敵対者との結末をきっちりと描き切ることに成功している。どうしようもない悪玉は殴って終わらせるが、まだ善玉に戻れる範囲の悪玉には積極的に手を差し伸べて見せる姿勢、好みは分かれるかもしれないが俺は好き。

 

ゲームとしては7外伝・8ともに良ゲーだったがもちろんprosあるところconsあり。

 

・大型サイドストーリーのシナリオを覆うマンネリズム

7外伝のランブル、8のドンドコ島とスジモンバトルはシナリオ面にうんざりしてしまった。①紋切型の善玉と悪玉の対立があり、②主人公が善玉側に介入して問題を解決し、③なんやかんや事情のある悪玉側も改心したりしなかったりしてハッピーエンドの流れを無機質に繰り返すのみにとどまってしまっている。記憶はあやしいが0も全くこのフォーマットではなかったか?悪玉側もとりあえず四天王を出すというところまでほぼテンプレ化しているだけで大した掘り下げもなく...。おまけ要素の域を脱するだけの魅力的なゲーム性をひねり出すことには成功しているのにシナリオが退屈なのでなおさら残念に感じてしまう。

 

・8シナリオ粗多すぎ問題

終盤に差し掛かってから、それまでを振り返るといやアレは何だったんだ?みたいな疑問が雪崩のように押し寄せてくる。登場人物の1人が突然フェードアウトして再登場時はいきなり汚い髭面になっていたりなど説明不足な描写も目立つ。

主人公も交代したし、如くシリーズってそういうものだから...のような様式美でフォローするにはいい加減苦しい。

 

 

大事なテーマを丁寧に書ききることには成功した8だが、まだまだシリーズとしてより面白くなる余地は残されており、次回作以降でどのような変化を見られるかを楽しみにしている。

 

 

 

ユニコーンオーバーロード

良作。

 

ヴァニラウェアといえば美少女キャラを軸にしたヴィジュアルと芝居がかった台詞で繰り広げられる長編ストーリーが魅力的で、ぶっちゃけゲーム性は二の次として見ていた(”13機兵”も”オーディンスフィア”もそういう感想だった)のだけれど、今作はSRPGとしてのゲーム性とヴィジュアルの両面を充実させてシナリオは薄めとなっていた。

 

ゲーム性が優れているといっても高難易度ゲームというわけでもなく、とにかく装備・編成・作戦を整えて最強の部隊をたくさん用意し、うまく型にハメて敵を蹂躙する類の爽快感を満喫できるデザイン。エキスパートモードでのアイテム使用回数制限のせいでかえってプレイングの自由が狭められているように感じた(設置アイテムとかもっとガンガン使いたかった)が、慣れるにつれアイテム使用を勝手に縛るようになり気にならなくなった。俺の考えた最強部隊が出そろった終盤はもう蹂躙するだけのゲームとなってしまったがそれはそれで気持ちいいので良し。

 

もともとシナリオを重視していないっぽい作品とはいえ、エルヘイム編を終えた後のバストリアス編やアルビオン編はあからさまにシナリオのパワーが低下していてすこしこたえた。ダークソウルのアノール・ロンドを思い出した。

 

最近は洋ゲーや国産大手など厳重な暗黙の了解がプロトコールめいて運用されている作品ばかり遊んできたので(NIKKEを除く)、いざセクシャルさを全開にしたキャラクターがガンガン登場するゲームを遊んで脳がくらくらした。これは嬉しい側の立ち眩みです。

 

FF7 Remake

不満。

 

発売当時はそれほど7に思い入れが無かったこともあり、いつまで延々と派生させ続ける気なん?という感情になり積んでいたが、Rebirthの評判がかなり高かったので評価を誤ったかもしれぬと最初からプレイし直した。

 

人格面でのクラウドが早熟を気取っているだけの未熟者に過ぎないという点がめちゃくちゃ強調されていて、これでは大事な後々の展開(無印クリア済の層は知ってるエピソード)の衝撃度が落ちるのではないか?と思ったが、割とあっさり、おおざっぱに言うところのパラレルワールドであることが開示されてやはり萎えた(厳密には完全なパラレルワールドに至ったのは最後の最後だが)。『運命』概念をそのまんまフィーラーとして登場させた挙句、フィーラーのおかげで命を取り留めたレギュラーキャラなんかもいるなかで結局最後は命の恩人でもあるフィーラーを倒して『運命』を乗り越えるストーリー...

 

オリジナルの7の筋書き自体は結構好みだったので、もしこれがすべての瑕疵を塗り替えてより”万全”な世界を生み出すための修正や追記に過ぎないとしたらとんでもないナンセンスだし、さすがにそれは無いと思いたいけど実際はそっちに向かっているんじゃないか?と嫌な予感が頭をよぎる(別のスクエニ大手タイトルでも実際にそういう展開があった)。

 

いちおうRebirthを触る予定ではあるが、もし無印のたどった世界を否定してもっと良い世界線にたどり着けるんだ!いけました!みたいな、傲慢なハッピーエンドに着地するだけの気配が出たら迷いなく中断して記憶から消し去ることになると確信している。とはいえビッグス・ジェシー・ウェッジをああ扱った上でそうなったら本当に最悪なので、さすがにそうはならんよな...?とかすかな希望ものこしてはいる。

 

フィーラー絡みで嫌な点が多すぎてネガティブなことばかり書いてしまったが、力のある大手タイトルでしかできない高品質すぎる過剰なこだわりが随所にちりばめられており、そのクオリティが奇怪極まる絵面のウォールマーケットにも遠慮なく注がれているのはかなり良かった。まったり会話してるだけの退屈なカットシーンちょくちょく挟まるという点でPS2時代のJRPGの嫌な面を連想していた本作だが、蜂蜜の館のダンスシーンのようなスタッフの熱量が伝わってくるバカバカしさを目にしていると、こういうヘンテコなところをもっと盛り込んでくれるなら期待できるな!とも思えた。

 

思い切ったシナリオや製作期間も含め、いろんな意味で極限までぜいたくなおもちゃ箱。7のリメイクシリーズの評価はRebirth以降に委ねられている。インターミッションを経てプレイする予定。

 

新しくなった戦闘システム自体はけっこう好み。

敵の状態異常が凶悪すぎる点だけはかなり面倒だったので次回作で改善されていることを祈る。

 

■AI ニルヴァーナ・イニシアチブ

かなり不満。

 

新AIのタマのキャラデザは文句無しだし、前作ソムニウムファイルと異なりプレイヤー自身が推理をさせられる場面が激増したことで謎解きADVとしての質は向上していたが、凝らされたすべての工夫やギミックがとある真相にたどり着くため専用のものとなっている上、その真相自体がわざわざ提示する意義も無ければシリーズ作品としての味わいを損ねているだけになっている。新主人公のうちの1人である龍木さえもそのためだけに存在しているギミックに過ぎない。哀れ。

 

過程がそれほど悪くなくても導き出される結論が最悪なので、いまどきそれ単体で雑に出して本当に飛び道具として機能するとおもったの?と感じたし呆れてしまった。3作目が出ても買うか怪しい。

 

■エクスアストリス

微妙。

 

強い不満は無いが高揚感も無い、平坦な味わい。

シナリオにのめりこめなかったのが大きい。

 

独自の世界設定はかなり練られているようなのだがキャラクターのバックボーンにせよ作中では知りえない情報がゲーム外に記載されていたり、エピソード1時点で知らない人と知らない人が第三の知らない人の変化のぜひをめぐって争っていてなぜかそこに加担することになったりとか(ヴィーは立場的にわかるけどイエンはただの調査員だよね?)、イエンとヴィーが一緒に行動し続ける必然性も不明なままあっさりとロードムービーめいた旅路になり、またそこで知らん人同士の対立が...みたいになったエピソード2導入で気力がほとんど尽きていた。

 

バトルシステムは新鮮味があったが、ハイパーグリフ特有のおしゃれ優先UIによって今自分のパーティーがどちらのスキルを使用できるのかなどの情報をぱっと見で判別できなかった。またダンジョンパートで移動する台を飛び移る必要があるのだが操作性が劣悪なうえ、操作を誤ると見えない壁すらなく普通に落下死してしまう点もストレスが高かった...(予想以上にパズルも多かった)。