シャニマス 浅倉透 Landing Pointの感想

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かなり良かった。今回もGRADと同じくひたすらストレートにわかりやすくかつ良質な物語を提供いただいた。

 

浅倉透と言えば、”凪”だった。常にマイペースで、輪の中心にいる和やかな存在。その一方でWING初期では人生の退屈さにどこか冷めていたし、自身やその環境が停滞していることに忌避感を覚え、必死にほうぼうで手を伸ばしていたが、求めるものには手が届かない。UFOは人工衛星だったっぽいし、プールで過ごしたいい感じの夜、高揚して月に語りかけた言葉も結局は虫が鳴いているようなものだった。

 

だがGRADでとうとう心の底から自分を認められるようになり、【おかえり、ギター】では”魅せる”技術を息をするように発揮できるようになり、快さをおぼえた。順調な前進がとうとう開始した。このまま飄々としつつも葛藤するようなスタンスで、浅倉の根っこは変わらないまま進行していくのかどうかは特に関心のあるポイントだった。

 

Landing Pointでは、浅倉がアイドル活動を通じて得られるようになったポジティブな面がネガティブな面にひっくり返される。日常は窮屈になり、避難先に求めた憩いの場さえ、自身の仕事に関連した形であえなく奪われてしまう。

 

天塵のころからPがノクチルに対して抱いていた、自然体でこそ生じる輝きをいかに維持するかという課題がとうとう顕著になり、元々の良さを保ち、居心地の悪いものは完全に切り離した上で更に成長していくような都合のいいシナリオと未来は棄却された(安心)。

 

これまでのコミュではほとんど心中での吐露や他者へこぼすような一言で済ませていた悪感情が、映画館が貸し切り状態と悟った途端に爆発し、映画のナレーションをなぞり絶叫するあのシーンには心底ぞくぞくさせられた。

 

いやなにかをもらう(食べる)のに何の対価も無いなんてありえないからね?と途中Pからの指摘もキッチリはいっているので安心して読める。

 

Pも言うようにGRAD前の浅倉なら、映画館の想い出を胸に抱いて爽やかに寂しく笑って爽やかに終わっていたのだろう。

 

だが捕食のよろこびを知った浅倉は、クライアントへの強い拒否感や自身の自由が抑制される煩わしさよりも自身の欲望を優先する。そうして欲望を選んだ者の責任としてそれらを引き受けていく。

 

クライアントへの怒りを忘れることもなく、オーダーは守らず自分のやりたいようにやり、ひたすらに喰らい、あの爆弾の行方は知らなくていいと語る。

 

 

正直登場から1年半でここまで変化を見せるとは思わんかった

 

浅倉はなんか...落ち着いてる性格だけど、キャラとしては良い意味で落ち着いていない。新規コミュ出る度に新しい一面を見せてくる(だからハマッとる)

 

今回は絶対に変わらないんだろうなとか思い込んでたとこがあっさりと塗り替えられた(いや浅倉が自分で変化を選択した、めっちゃ貪欲に)。浅倉はもともと無欲な人間ではなく、やりたいことのためにすぐさま順応していく活発さを持ち合わせていたが、その方向性がこうも生々しい方向に変化するとは。

 

清流に棲んでいたのにいまやごみと宝石がばらばらに浮いた海に出て、爆発するのかどうか本人さえもわからない。今後どこへ向かうのかも完全に予測不能。もう透明じゃない、欲望を受け入れた捕食者となった。凪から爆弾を抱えた捕食者に。こういう様変わりは大好物だ。

 

個人的シャニマス最大名物である浅倉モノローグもキレキレだった。

特にコミュ『キッチンできみは火薬をまぜる』のここらへんとか

 

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あと、最後の社名を確認してからのくだり。浅倉は反射的に飛び出すワードのセンスが良い。それをボイスつきで味わえるのは大きな利点だ...というか浅倉のセリフはボイス前提というか、ボイス付きじゃないと魅力が半減する(テキストだけだとあっさりすぎるセリフが多いので、フルボイスの強みはかなり意識してると思う)

 

 

 

ところで今回のコミュは【つづく、】を連想させる要素が強い(このカードの演出や話(未来まわり)を起点にして今回のシナリオを作り上げたのか最初から予定していた流れだったのかはわからんが)

 

当時はひたすらにきれいで爽やかなだけだった思い出アピールの映像もLPシナリオを経た今に見返したら印象が変わった。未来ってそういうものだよな

 

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