FF7 リバース 感想

ネタバレです。

 

 

 

ゲームとしてはまあまあ面白かったが、素直に評価を下しづらく複雑な気分。

 

■戦闘

面白い。

 

7Remakeで大きな不満だった、行動不能にさせる状態異常持ちのウザさが減り、相手にあわせて適格な行動をとることで誘発できるHEAT状態の条件もより面白味があるものに。

 

特に感心したのは新要素の連携アビリティ。強行動をするために複数キャラの積極的なATBを消費が必要なことがパーティーに組込んだ3キャラを自ら操作する全強い動機につながり、結果として”クラウド一択” "ユフィ一択"のようなゲーム体験になりづらくなっている。ライトユーザーからコアユーザーまでの全てを対象に、ゲーム性を深めさせる方向性で機能する神システム。

 

また前作ではとにかく面倒だった飛行敵も、遠距離攻撃可能なパーティーメンバーが増え、クラウドには遠距離たたかうが搭載され、ティファのようなインファイター

も連携アクションを使うことで殴りにいきやすくなっていたのがgood。

 

新たなプレイアブルパーティーメンバーはレッド、ユフィ、ケット・シーの3名となったが、Remakeインターグレードでも強キャラの片鱗を見せていたユフィの暴力がすさまじい。ペナルティなしで戦闘中に属性を選択しながら遠距離魔法攻撃を手軽に連打でき、状態異常中でも復帰しつつ無理やり殴れるやぶからぼう、最強回避のくもがくれ、ダメージ量が終わってる邪気退散、なぜか分身でダメージ効率が更に加速...。ウータイ関連の新展開がかなり多いのもあってか露骨に優遇されている。

 

一方で使いづらいキャラもいた。エアリスは魔法火力があまりにも高い都合か、通常攻撃のテンポが悪く、魔法陣を展開してから本領発揮のキャラというのもあり道中の雑魚戦向けではない印象で、強制編成以外ではもっぱら非戦闘時の回復役と化していた。同じようにまずモーグリを召喚する過程があるケット・シーやリベンジモードが特性となっているレッドも普段使いを避けていたので、結局クリアまでずっとクラウド&バレット+ユフィorティファで進行していた。

 

■遊び要素(ワールドレポート、サブクエスト、ミニゲーム)

豪華絢爛な遊び心の拡張に感銘を受けた。特にジュノンのパレードは本当に良かった。クラウドの台詞が一部原作と違っていて(「この制服に初めて袖を通した時は~」みたいな台詞が無かった気がする)ちょっと不安だったのだが、第七歩兵連隊との絡みから神羅兵適正バリバリな様子まですべてが美味。レッドの迷シーンは再現なしか~と思いきやカードバウト大会で遅らせてお披露目される遊び心もいい...。ジュノン~カードバウト大会~コスタでよろこびは最高潮に達したが、コレル以降まで来ると最早殺人的なまでのサービス精神とボリュームに圧倒されてしまい、ワールドレポート埋めは早々にあきらめた。全てに付き合っていたら積んでしまう。

 

特にゴンガガエリアの影響は大きな契機になったかもしれない。オープンワールド形式となった本作だが、特に後半のエリアはその地域固有のチョコボの特徴を活かすようなレベルデザインが施されている。グラスランドやジュノンではとりあえずパルクールをやっていればすぐに目的のスポットへたどり着けたが、ゴンガガ・コスモキャニオンは特定の手順を踏まないとたどり着けない場所が多く苦労した。もちろんこのレベルデザインによって、オープンワールドゲーが陥りがちな"目標マーカーに向かって直進するだけ"状態に陥らないようにはなっていたのだが、とにかくコンテンツ量がものすごくて正面から受け止める余裕がなかった(ニブルエリアの海チョコボは癒し)。

 

本編以外でのミニゲームのなかでは、クイーンズブラッドとコンドルフォートが神がかって面白い。特にクイーンズブラッドは様々なデッキ構築を試さなければならないというわけでもなく、プレイヤー次第でデッキの方向性を決めて気軽に楽しめた。黒紅の女王戦はメタを求められたが...(翠玉の魔女が初手に来るのが邪魔だった)。あとシドのCV的に最後に戦うバウターになるのではないかと密かに期待していたが(グウェント的な意味で)、さすがにそうはならなかった。

 

かなり微妙に感じたのはガンビットギアーズで、単体で見れば悪くはないのだが、これだったらコンドルフォートの方が面白いだろというのが正直な感想。

 

あと厳密にはミニゲームではないが、コレルエリアとニブルエリアのエンシェントマター関連クエストはシンプルに進行させる過程がダルすぎて放置した。特に黒マントの行進を見守るやつの2回目が始まったときはめまいがして、時間にゆとりのない社会人というのもあり『背中を押す』とかいうよくわからん要素より目的地までスキップさせてほしさが先に出ていた。各所にコメディリリーフとして出張するギルガメッシュにおかしさを感じることも無くなっていたので放置してエンディングを迎えた。

 

■シナリオ

俺がRemakeの運命の番人ことフィーラーを叩きのめして新たな可能性をひらいた!未来は白紙!というご都合を予感させるような展開に非常に強い反感をおぼえていたが、実はクラウド達が自発的に運命を切り開いたわけではなく、ただセフィロスに都合のいいように誘導されていた/運命の壁を突破させられていただけに過ぎないことが明かされ、素直に納得したし感心すらした。世界改変は悪役側のムーブじゃないとチープになってしまうから。それに原作経験者として「どうせアレでしょ」たかをくくっていたリユニオンが、はるかに大きなスケールの計画に変化しているのも素直に驚かされた。

 

問題は終盤の怒涛の展開であろう。ひとりだけフィーラーの壁を突破した結果、ただでさえ魔晄でヤバいのに他の世界やエアリスの魂?まで見えるようになってしまったクラウドだとか、別の世界のエアリスが介入してくる描写だとか、リバース世界エアリスを助けられたと思いきや結局助からなかった世界(カノン)に改変されたっぽい描写とか、クラウド×エアリス過激派のマリンに脳を破壊されたザックスのアレコレだとか、夢の共闘だとか、まあ~いろいろあった。

 

かなり興味を惹かれたし面白い内容でもあったが、数年後の次回作で出る結論を待つしかないような"考察"ポイントを残しつつ駆け足ぎみに物語をたたんでいく様子を見送った後、俺の脳裏に浮かんだのは「しゃらくせえ」だった。

 

良いシーンは沢山作られたが、最重要な事柄の決着はつかないままとなってしまった点。最後の迂遠なクラウドの世界間移動を通してエアリスの悲劇が避けられないカノンであるとの強調。クラウドにしか認識できない魂エアリスとクラウドのお別れを告げるラストシーンは美しかった。

 

解釈(というか3作目)次第では、クラウドがエアリスを助けた先の世界も発生する...のかもしれないという微妙に無くもない救い糸もあるが、そこまで考えさせられるのも含めてしゃらくせえ。最終評価は最終作を遊ばないとわからないので、ゲームとしては〇、長編物語としては溜め回なので△。エアリスファンにとっては極上のご褒美だったのではないか?という気もするが、それ以上に深く新たな傷跡をのこされた可能性もある。

 

■余談

 

・グリングリン「騎手はクラウドで登録しておいたから!」

え?仙人のとこの修行もけっきょくクラウド頼りだったよね?テメーの都合だしそこは自分で頑張ってくれな?とモヤッた

 

・キリエ

さすがに最後はクラウドもガチで怒ってたし(当たり前すぎる)、正論パンチで気持ちよくミッドガルに送り返す流れかと思いきやユフィが雑な共感で割り込んできて微妙なムードのまま終了して唖然。3作目はキリエ出さないでほしい、もし出すなら死ぬほど気合入れてちゃんと過去も含めフォローしてほしい。キリエの最終的な扱いだけで、7リバースメインストーリーの出来に疑念を抱いてしまったので。

 

・印象に残った音楽

「ワワワワン ワワワン」のやつ。

あと「わたしはチョコボ」。

 

・その他

カットシーンのテンポが全体的にのんびりとしており、メインストーリーに関わる重要なシーン以外は眺めている時間が長くてしんどかった。コルネオ登場のくだりが顕著で、最後に乱入してきたときに「まさかの乱入~!」みたいなアナウンスとコルネオ&アプスへのカメラフォーカスが複数回繰り返されたり、コルネオの下品な所作もやけに時間をかけてねっとりと強調されていた。

 

退屈ではなかったが面白がるべきかわからなくなったのは、バレットvsダイン直後のディオ乱入→「若者よ!私の背中を見よ!」→ルードとのロックアップ開始のくだり。FFのコミカルさを出すタイミングとしては間違っていないか?知人がこの流れを「バーフバリみたい」と評していたが、ラージャマウリ監督は本当に重要なところではシリアス要素を台無しにしない製作者だし、こういうことはしないと感じた(いや同じようなもんだよ!と熱弁されたらまあそうなのかも程度の直感ではある)。