感想 (劇場版 少女歌劇レヴュースタァライト、オッドタクシー、SSSS.DYNAZENON)

 

 (劇場版) 少女歌劇レヴュースタァライト

 

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かなり良かった。映像表現がシンプルに気持ちよく、絶頂感がブッ続く経験は稀有なので2回目の劇場視聴も検討している。

 

劇場版の感想に関係してくるので先にTV版スタァライトの感想も書くと、TV版はあまり受け付けなかった。

 

 

 美少女アニメっぽい美少女が美少女アニメっぽいやりとりをするのを眺めるのが苦手なのもあるし、舞台少女達が基本的に性別を問わない大勢の人間へ向けたパフォーマンスを磨いているのに、作中で男性の存在が相当念入りに削除されていることに疑念を抱いたのもある(ここも劇場版で緩和されて驚いた)。

 

華恋とひかりが再解釈したスタァライトを演じて大団円にはなるのだが、かけがえのない人がそばにいればこれからもうまくいくし万事ok的な、人情万歳の結論にいってしまうともう題材がなんであっても代替可能になってしまうのではないか、そもそも最初の約束自体はたしかに美しいけれど、人情ものを貫徹するならそれはそれで新たな2人の約束を設定してほしくはあった。大切な誰かがいなくなった途端続行できなくなるのなら、それは自身にとってのかけがえのない行為には値しないのではないかとすら思ってしまった(孤独系過激派)。スタァライトにおいては2人の約束が”戦い”に絡んでいたからその思いが強まってしまったのかもしれん。

 

劇場版はTV版で俺的に不満だったところはだいたい回答があったような気がする。描写が弱かった華恋は過去回想からガッチリ固められ、運命の相手であるひかりに距離をとられてしまい、才覚だけは保持しつつも次の舞台を見出すこともできず呆然としており、一方ひかりも華恋の人間性能にブルッて逃げ出した事実をマジレスされて泣き出す。そういうのが見たかった。

 

 

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星の遠きに望みを絶たれ
君 死にたもうことなかれ

 

なんといっても大場ななが良かった(本題)

 

そもそもスタァライトを見始めたきっかけがTLに流れてきた彼女の絵

だったので好きなキャラ増えるといいなぁくらいだった。大好きなキャラが増えた

 

TV版では瞬間を永遠にしようとしていたのが運命絆パンチの前に2連敗して変節したときはガチで残念に思っていたが、劇場版ではワイルド・スクリ───ンバロックを巻き起こす。しかも死んだ舞台少女達に活を入れつつ、親友の腑抜けっぷりにはガチで失望してから切腹を命じ、泣き出せば冷たいコメントを残してさっさと背を向けてしまう(ここらへんのくだりが演技かどうかは解釈がわかれるのかもしれないが、冷める時は演技抜きでガチ冷めする系舞台少女と認識している)。もうガチガチの快楽主義者なのだけれど、彼女が快楽を求めて暴れるシーンで俺もまた快楽がバシバシ得られたので本当に本当にありがとうございます

 

特に皆殺しのレヴューは前振り・言動・挙動・行動・戦闘力全てが強者フェチを殺しにきている。このシーンのためだけでも円盤を購入しようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SSSS.DYNAZENON

物足りない部分もあるがまあまあ面白かった。

 

怪獣がいて、怪獣を操る人間がいて、怪獣が出現するとロボットが合体、分離しながら戦う。ボーイ・ミーツ・ガールがあり、失った肉親の面影を求める女の子も、かつて逃した青春のチャンスを後悔する大人もいる。

 

主要人物が抱えるドラマは日常の範疇に留められている。10話では最も抱える問題がショボいヨモギ君が真っ先にあり得たかもしれない世界を打ち砕き、ユメ達の救出に向かう。”ショボい”は侮辱的な他人目線の表現だが、良い意味で重たくない人生を歩んでいるからこそ成し得た成果なのだろう。

 

物語の進行はぶちこまれたフィクション要素に対して各人物が極めて受動的であり、なぜ怪獣は現れるのか?怪獣使いとは何か?いつまで戦えばいいのか?出動が難しいような遠く離れた地(たとえば他国)に怪獣が出現しないのはなぜか?などの疑問を抱くこともない。主要人物達の関心は身近なテーマである片親の再婚、死別した姉の足跡、取り逃した青春への後悔へと向かっていく(ヨモギとかも当初怪獣に備えた訓練よりも自立のためのアルバイトを優先していて、ダイナゼノンに乗るようになった動機にはユメへの関心が根底にある)。最もドラマチックそうだったユメの求める真実の着地点すらあまりにも平坦で、平凡な世界を生きる人間の物語であることが強く押し出されている気もする。特別な力であるはずのダイナゼノンでさえ、誰でも扱えてしまう徹底ぶりだった。

 

街に出現した怪獣を倒すのがガウナ達の目的だが、明確に街を守りたいと考えているのはユメくらい。発端のガウナにも世界を守るよりも姫に会いたいという動機が先にくるし、コヨミやちせはとりあえず他にやることがないだけ。非常時に乗り込むダイナゼノンはガウナ曰く「誰でも乗れる」もので、選ばれし者へ受け継がれる神器ではない。怪獣と戦うたび街はめちゃくちゃに破壊されていくが、人的被害等の情報はほとんど入ってこない。具体的に映し出された被害者はバイトリーダーの夫だけ。なぜ怪獣優生思想が生まれ、彼らがそれを選択したのか回想が入ることもない(原作のグリッドマンで扱われているのかはわからない)。

 

どうせ怪獣優生思想の描写がああいう感じになるならムジナだけでももうちょい描写盛ってほしかった気もするけれど、とりあえず青春成分を得られたのでよかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オッドタクシー

まあまあ面白かった。途中でセトウツミ作者が脚本を書いていると知りタダでは終わらんだろうと思っていたのだが....

 

きちんと作品を追っていれば予想できる大筋にはなっていて、そこは丁寧に作られてる作品だなあ~で信頼して見れていた。

 

裏で展開しているもうひとつのストーリーの決着に関しては、毎週得られる情報をもとにした視聴者の予想をこうすると鮮やかに欺けるのか~という関心と、いや気合の入った公式幕間オーディオドラマまで絡めてこのクリフハンガーをカマすの!?とくらくらした。最後の最後に作品ジャンルごと変転するようなオチをつけられたのは初めてかもしれん。