Detroit:Become Human 感想 +一週目振り返り

Detroit:Become Humanは、あらすじを要約してしまえばなんということはないストーリーだが非常に面白いゲームで、夢中になって一週目をクリアした。

 

このゲームで一番大事な存在はコナーだと思う。機械的な面と人間的な面とを非常にバランスよく併せ持ち、正論をやかましく並べ立てたかと思えば、ちょっとしたユーモアを見せる時もある。度々、人間とアンドロイドのどちらに味方するのか、あるいは人間に従属する機械として振舞うのか、それとも自由意志を得た変異体として振舞うのかを迫られる。彼のパートはプレイしていて非常に楽しかった。

 

ただ、他の2体(マーカスとカーラ)はすぐに変異してしまい、その後の振舞いも殆ど人間そのもの。『非人間性』を感じることがなく、マーカスの物語は彼がアンドロイドでなく人間の奴隷だったとしても成立するように思えたし、カーラに関しても『真実』の件を含めても微妙なラインだった。例の屋敷で選択肢次第で起こる、あの奇跡的な(ご都合)展開はクリシェそのもので、あまりにも人間的すぎた(そしてそれが俺の辿ったルートだった)。

 

「アンドロイドが人間と全く同じように感情や知性を持つようになったらどうなるのか」がテーマだったとしても、もしコナーがいなかったら、「結局このゲーム、なんでアンドロイドだったのかな」という感想を抱いて終了した可能性が高かったような気がする。

 

ただ、そうした振り返った時のモヤモヤする点を差し引いてもかなり神がかった良ゲーだった。コナー編がもっとマシマシなら更に評価は上がっていたとおもう。苦言を呈するとすれば、無駄なQTEを要求されるところくらいだろうか。

 

(以下1週目振り返り、ネタバレ要素あり)

 

 

■コナー

人間の良きパートナーとして奉仕しつつも、同胞を苦しめなければいけない場面で葛藤する姿が垣間見えるというのが好みだな・・・と思い、できるだけ機械と人間の中間に位置する存在としてロール(変異体寄りの機械)。

 

序盤~中盤:ハンクと良い関係を築いていたが、ルパート捜査時に救助より追跡を選んでしまい関係が悪化。エデンクラブの捜査も時間切れ。TV局ではハンクをかばって変異体に射殺された。失敗しまくりでポンコツ感が出てしまって悲しい。クロエは撃てなかった。

 

終盤:機械のままでいることを選択したら、いきなり冷徹なキリングマシーンになってしまった(なんでだよ!?)。マーカス暗殺ミッションに向かうことになり、ハンクと対立。最早ロールプレイの意味が見いだせなくなったので、プレイヤーの意思でコナーを見限り、QTEを失敗させハンクに高所から突き落とされて死亡(シリーズごと廃棄)。

 

※"機械であること"を選択させた途端にプレイヤーの意思に沿わない行動をとり始めるコナーの姿にはメタ的な解釈が絡む余地もありそうだが、個人的にはそういう作品ではないと考えているし、それほどメタモチベも無いので割愛。

 

■マーカス

人と機械をつなぐ希望の象徴。カールにしっかりと啓蒙されていて、確かな理性を持つことに成功している。暴力を選ぶ性質ではないだろうと判断し、徹底的な平和主義者としてロールした。メタ的にも人間に反乱するロボットという展開はもう見飽きたしチープなのでつまらない。どれだけ暴力で脅かされても最後まで平和を訴え続けたらどうなるのかという点も気になった。

 

序盤:レオに対して無抵抗を貫いた結果カールが死亡。罪をなすりつけられる。最初の盗みでは犠牲者を出さずにトラックを確保。ジョンを仲間に迎える。

 

中盤:テレビ局でサイモン救助。もう死亡確定だろうと思っていたら、コナーで干渉しなかった結果あっさりとジェリコに帰還してきたので驚いた。いや.....無理じゃない?っていうか序盤の事件の屋根裏に気付かなかったのもそうだけど、未来世界の警察の捜査ザルすぎない....?デモ行進では解散も闘争もせずその場に立ち続けた(ジョンが身代わりになってくれて生還)

 

後半:最後まで平和を訴えバリケードを築く。パーキンスの交渉をはねのける。最後に包囲された場面で自ら犠牲になることを選び焼身自殺し、世論を混乱させて終了(この裏で機械コナーに狙撃されそうだったが、プレイヤーの意思でQTEを失敗させて阻止)。

 

実はかなりいいところまで行っていたらしいが、最後の最後で"人間性"のアピールが足りなかった。

 

■カーラ

過酷な世界で、か弱い存在を庇いながら目的地をめざすという非常にわかりやすいキャラクター。他の2人が機械/変異だったり平和/戦争だったりで苦悩しているのに対し、彼女の場合はアリスを守るという方針が一貫している。

 

序盤:トッドを射殺して脱出。コンビニ強盗や服盗みはアリスの立場を悪化させるだけだと考え、イカれたアンドロイドが隠れている廃屋で一泊。なんとか穏便に話をすすめる。コナーが乗り込んできたので高速を走り抜けて逃亡。

 

中盤:屋敷パートでは一度ロストしたメモリーを取り戻し、ルーサー達が復讐を遂げる。カーラ編自体はかなり好きなのだがこのチャプターはお化け屋敷的な性質が強く、そのホラー要素でプレイヤーの感情を揺さぶった結果何が生まれるんだろう?と疑問に思った。匿われたローズ家では警察の追求をやり過ごすことに成功。

 

終盤:アリスの真実を受け入れ、ジェリコを脱出。途中で別れていたルーサーとジェリーを救出。バスのチケットは落とし主に渡してやった。今は素直にこっちの都合を優先させてもよかったのかもしれないと思うが、「アリスが観ている」ということを意識していた。俺が操作するカーラはアリスに失望されることを何より恐れる。

 

チケットが使えなくなったため、ボートで川越えをすることになったが、途中で襲撃されルーサーが死亡。アリスも致命傷を負い死亡確定。カーラはアリスに未来が無いことを知りながらも自身のパーツを犠牲にして水中でボートを押すことを選択。なんとか国境を越えるも、向こう岸でアリスが死亡。カーラは独り生き続けることを選び、壊れる寸前の身体で吹雪の中に立つ。個人的には最高のビターエンドだった。

 

2週目もプレイしたが、やはり1週目では見れなかった展開探しにフォーカスしてしまい味気なかった(いけすかない刑事をぶちのめすことはできたが)。