「最悪なる災厄人間に捧ぐ」 感想(バレ)

 

 

素直に点数をつけるのが非常に難しいゲーム。スケールが大きいんだか小さいんだかよくわからない筋書きや、クロの母親・塾のいじめられっ子というプレイヤーにストレスを与えるためだけに用意された存在あたりにはマイナス要素しか感じなかった(母親が最後までクズだったことは良いポイントだと思う。いじめられっ子は単なるサイコパスクソ雑魚なので立ち上がることができないならそのまま死んでくれという印象)。

 

ポジティブに感じ取れたシーンは、何度も繰り返したり平行したりしている豹馬に対して、なつが自分の想いをつきつけるシーンで、ここが個人的なクライマックスだった(1回限りのはずの本気の覚悟でさえ、繰り返しによって茶番に転じてしまうのが切ない)。

 

俺が特にモヤモヤしてるのはこのゲームのそもそもの舞台設定で、力を与える側の上位存在が手を貸すかどうかの基準がひどく曖昧なこと。創造主が興味を示すかどうか、だけで世界が左右されすぎていて、また違う世界で他のやつらがわちゃわちゃしたらまたとんでもないことになるんじゃないのかと思ってしまう。自殺関連のルールがどういう経緯で取り決められたのかも読み取れなかった。

 

『最悪』は最終的に悔い改めたわけだけれど、結局それもクロに出会えなかった結果、"弱い"から自殺して(お前も同じ思いを味わってみろとかそういうナンセンスな説教はしないでほしい)、各世界を殺して回り、結局クロとのやりとりを通して自分の過ちを受け入れるわけだから、やっぱりクロ次第になっちゃってるよなあとか。

 

ムダに色々書き連ねてしまったが、not for meという言葉を使わずに書くと

 

・この作品は豹馬とクロの成長と関係性の変化を楽しむゲームなので、そもそもそういうのに興味が無い人には向かないのではないか

 

・世界の成り立ちやルールが作りたいシチュエーションから逆算されているように感じてしまった

 

以上。

 

面白いとされるADVはいつもめちゃくちゃ時間がかかる上に前半が死ぬほど退屈なのだけれど、その面白いとされるポイントが具体的にどういう方向性なのかはちゃんと見極める必要があるなと痛感した。

 

特に萌える女の子キャラを求めておらず同じ方向性の作品を求めるなら、『レ・ミゼラブル』あたりを読んで済ませてもいい気がする。