浅倉透コミュ集大成というか....あまりにも良すぎた。
まだ余韻が残っている。
昔読んだ湊かなえの小説『告白』で”要約”の残酷さについて語られていたけれど、今回の物語だって要点だけまとめて要約してしまえば割となんでもないような筋書きになってしまうんですよ。
なってしまうんですけど、魅せ方さえ抜群ならそういうのは気にならなくなる。『パルプ・フィクション』だって時系列通りに見せていたらあのラストには至れなかったし、『バーフバリ2』もあのバカバカしいまでの豪快さが神話的な世界観を鮮烈にする。『パシフィック・リム』でロボット好きのオタクがうおおおおおおおお!!!!!!!!と席を立って興奮するのはロボットが敵をやっつけるという筋書きを最高に魅力的にしたからだ。
でも浅倉って一筋縄ではない。pもsもコミュを読む上では正解が無くて、ただ浅倉の思考に想いをめぐらせることしかできない。これまでは時折モノローグで彼女の独特な視点にふれることができた程度。とはいえ、浅倉の持つ独特であり平凡でもある人間性という絶妙なバランスは、わかりやすい物語が提供された途端に失われてしまうのでは?と気になっていた。浅倉透のスケール感を個人ドラマで引き出すとき、彼女のわかりづらさ/わかりやすさ落とし所をどう設定し、どう見せていくのか?という点にあった。
さて、浅倉透GRADはどうだったのか?さっき挙げた映画のように筋書きを要約すると味気なくなってしまうけど過程の魅せ方が最高だから最高な物語になれたか?YES。これまでの浅倉コミュでもっともわかりやすい内容、だがその過程の魅せ方は画面演出まで含めて完璧に近かった。タメがあり、面白く、終盤のカタルシスで脳が揺らされ、さわやかな気持ちになれる珠玉の出来であり、ただ良すぎたという”要約”を書くことしかできない。良かった点をいちいち挙げてくのが最早野暮になるレベルで、1時間悩んだけどやっぱりここに書きたくないって結論に達した。じゃあなんで書いているのかというと、熱量の保存としての意味合いが強い。エピローグ『泥の中』は俺も命を感じてしまった。
以下、話の本筋とはあまり関係ない部分でめちゃくちゃ好きなポイント
「大丈夫か?」と精神状態を気遣ってくるシャニPに対する浅倉の年相応な独白!
その後浅倉を必要な場所へと導き、重要な会話を経て
シャニPの以心伝心アンサーである。
シャニPがシャニPという人間で無かったらこの2人がここまで来ることはなかったし、この未来へ行くこともできなかったんだなあと思い知らされる。
いや~~~WINGでは「旅に出ます」にガチ焦りして冗談だよとか言われてたシャニPがGRADではちゃんと真意を悟れていて「俺は冗談じゃない」の流れ美しすぎ~~~~~~~