コニーが化けた。
正直なところ、連載初期からそれっぽく登場した割には、全然パッとしないキャラだと思っていた。綾乃に会うために日本に来て、良きチームメイトに恵まれ、大好きなママがコーチになり、ママとは勝負せず逃げ回りながら現状に満足し、作中でも精神面を揶揄される始末。
13巻で泥臭い地獄のような試合をしたいと言ってから、急にキャラが立ち始めたような気がする。試合後にも「(バドを)好きという気持ちだけは誰にも負けたくない」「楽しいという気持ちをもっと高める」「自分が最強だと証明する」等のコメントを残し、そこそこ面白いヤツになってきたなと思っていたが、ここまでくるとは。
対なぎさを経て、自分と相手へのバドミントンへの想いを(恐らくは脳内推定で一方的に)比較し、自分が最強だという認識が強まり、試合中の苦しみすらも幸福薬として活用し、対戦相手への態度は更に不遜になっている。単純にオラついているというよりは、自分程バドミントンと真剣に向き合っているプレイヤーは存在しないという強い自負によるものなのだろうと捉えて読み進めた。
もちろん、スポーツマン精神という観点では褒められるものではない。津幡戦のコニーは言動も目も完全にイッちまってる。しかし全身全霊でゲームを楽しんでおり、というかゲームに狂っており、今後も人生をかけて打ち込んでいくと思わせるような瞬間風速が伝わってきてかなり燃える。俺はヴィゴと同じリアクションをとってしまった。
試合後も、綾乃よりも先にママ離れを完了し(選んでよね)、大切な仲間を想いながら今後は孤として戦い抜く決意を済ませ、最後は来日のきっかけになった綾乃と、特別な瞬間の特別な舞台で決戦に臨むという、怪物みたいなキャラに化けた。俺の中では好感度が神藤綾乃を抜いてしまった。
気なった点として、短髪化に関してはお約束過ぎて本当にそれ要る?と感じた。何の布石もなくやるなら割と寒いけど、もしかすると髪の長さにママがらみのこだわりがある、みたいな情報が以前にあって、それを俺が拾えていないだけなのかもしれない。
この最高の作品がもうすぐ完結するという現実をあまり考えたくはないのだけれど、このまま覚醒コニーも綾乃も綺麗な精神状態のまま作品が終わるとスポーツは歪んだ精神を矯正するのにも適している!みたいなつまんない文脈に吸収されそうなので、次の巻では社会通念上はイッちまってるけど誰よりもゲームに入り込み、ゲームを愛している2人の魂の激突に終始して〆てくれると期待している。
ただ、津幡に関しては正直とても不憫なキャラになってしまったと思う。クライマックスに向けてコニーのキャラ改修の割を食い、綾乃やなぎさとの対戦に至らずいきなり覚醒コニーとぶつかってしまった。スピンオフとかだと強い系、みたいな...。はねバドのコラテラルダメージ枠。