エルデンリングのファーストインプレッション

きのうから開始したエルデンリングが予想外の面白さで久々にわくわくしている。

まだ序盤も序盤だが、感動したポイントを熱が残っているうちに書き記しておきたい。

 

アクションRPGであってアクションゲームではない

自由行動ができるようになったプレイヤーは、早々にフィールドを闊歩するとある存在を目にすることとなる。近づいて発見されてしまうとボス戦が始まるが、ステータス差が激しすぎてまともな戦闘にならない。ここで大多数のプレイヤーは強敵との戦闘を回避し、ゲーム内システムである”導き”の追跡を優先させる。

 

”導き”に従い進んでいくと、ムービーつきのボス戦がはじまる。さっきフィールドを闊歩していたのとはまた別の強敵で、第一形態は最初に遭遇したフィールドボスよりはマシだが、体力が減って行動パターンが変化するやいなや火力が跳ね上がる。盾はほとんど機能せず、一撃で撃退される。ついでにつけくわえると、PS4版ではやや長いロード時間が、死ぬ度に発生してしまう。

 

ゲームの最序盤から、開始直後の戦力では絶対に勝てない存在と2度邂逅させることで(しかも2体目にいたってはストーリー進行に撃破必須)、プレイヤーに戦力の拡充を意識させるフローにはいたく感心した──戦力の拡充方法はレベル上げや装備更新によるステータス向上、有用アイテムの獲得など様々だが、『何を目標/目的として』『どこへ向かうか』は完全にプレイヤーに委ねられている。これこそ冒険、アクションRPGゲームだ。

 

勿論、前述した2体も、ある程度のアクションゲームの経験があれば初期状態でも撃破はじゅうぶん可能だ──だがそれでは非常にアクションゲーム寄りの体験になってしまうだろう(アクションゲーム・フリークにとっては悩ましいかもしれない、それもまたRole Playingだ)。

 

過去のソウルシリーズはオープンワールドでは無かったので、特にレベル上げを意識せずとも、よほどのことがなければ(初代ダークソウルで祭祀場直後に墓場へ突撃するとか)、ただ道なりに進み、その時点の強さに最適なボスと戦うよう設計されており、死にゲー高難易度ゲーと謳われつつも、少なくとも1週目レベルは”アクション”の経験値だけで突破できるような設計になっていた。

 

だがエルデンリングはちがう。オープンワールドの中にごくシンプルな導線を引き、その中で”倒せない”強敵”と2度も闘う機会を設けることで、自発的な戦力拡充を促すのだ。ただ道なりに進んで強敵を倒すゲームでは無いと理解させるのだ。ただし、前ソウルシリーズからとにかくつきまとう「高難易度」イメージのせいで、その時点では”勝てない”強敵を倒そうとライトユーザーが挑み続けてしまう可能性はある──それすら、公式が序盤Tipsを用意してくれたので杞憂になるだろう。

 

アクションの比重を強めたブラッドボーン、完全にRPG要素・ソウルシリーズ的な戦闘を捨て去り、完全に新たな方向のアクションに振り切ったSEKIROを経てこのエルデンリングにいたったと思うと、それほどシリーズに思い入れの無い俺でさえ感慨深くなってしまう。

 

 

オープンワールドを「探検」し「冒険」するゲームである

いわゆるオープンワールドゲームは好んでプレイしているが、歯がゆく感じる点もある。たとえばマーカーだ。マーカーは目標地点、人物、撃破対象を指して表示される。目標地点に向かうまでの間の距離まで数字で示されることもある。ゲーマーとしてオープンワールドゲームに親しむほど、マーカーの意識支配率は上がっていった。マーカーを目指して移動し、魅力的な風景があると一度立ち止まるが、少ししたらまたすぐにマーカーに従った行軍を再開する。一部をのぞいた未踏破エリアにはあえて足を運ばない。あとで、何かのクエストで来るよう指示されたら二度手間になってしまう。

 

エルデンリングの”導き”は非常にファジーで、しかも最序盤に従っていたらいきなり進行不能レベルの強敵にぶち当てられ、早々にしばらく後回しにするように誘導される。リアルタイム表示のミニマップもクエスト進行状況を確認するジャーナルも無く、ただ地図を開いて気になるところへ赴く。ほとんどの場合、変わった地形には何らかのイベントやアイテムが用意されているし、苦痛な単純周回に走らせないようにするためか、道中には経験値獲得用アイテムが点在している。マーカーに振り回されることもなく、ここまで心が行き届いた形で「冒険」を提供してくれるゲームは希少だ(念の為添えておくが、既にプレイ済なので俺にBotW等を啓蒙する必要は無い)。

 

 

今朝、冒険を通じて得た能力やアイテムによって前述の強敵を2体とも撃破した。進行していたら例によって再び打倒困難な強敵が出てきたので、また未踏のエリアの探検が始まりそうだ──これこそ俺が欲した冒険の旅だ。

 

ファーストインプレッションでめちゃくちゃベタ褒めになってしまったが、初代ダークソウルでアノール・ロンド後に息切れを感じた経験もあるのでまだ着地点はわからない。

 

ともあれ、久々に良いゲームをプレイできている実感がある。素直に嬉しい。