寝違えボトルネックの記録 / 輪読座に参加(『サンショウウオの四十九日』回)

寝違えボトルネックの記録

 

8月25日(日)の朝、ベッドで起床し、スマホを手に取ろうと身体を回転させたとたん「ポキャ」というような感触が首にあった。こうして俺は強烈な寝違えを引き起こしてしまった。

 

かつて紹介してもらったゴッドハンド輝のマッサージを試してみたが、全く効く気配はない。かつてない勢いで首の可動域は狭められ、それだけでなく、肩にも炎症と思われる激痛がはしり、姿勢が悪いと腕にも痛みがとんだ。痛すぎて力を入れられない時もあった。

 

最大の悩みのタネは睡眠だった。一度横になるだけならスムーズなのだが、起き上がる段になるとそれはもうたいへんな労力が必要で、自分なりにもっとも首への負担が少ない(痛みを最小限に留められる)起き上がり方と寝る姿勢を把握するまでに時間を要した。起き上がろうとすると激痛と想定される首への負荷の重さへの危惧に打ちのめされる体験は過去にないもので、このまま素人判断で起き上がろうとすると首を一生レベルでだめにしてしまうのではないかと悪い方向に想像が巡り、パニックになった。救急車を呼ぶかはたまた都内の友人を呼んで起こしてもらったほうがいいのでは?と本気で悩んでいる間に覚醒から起き上がりまでに数時間を要した日もあった。こういうとき、すぐに整形外科に行くのが模範的な社会人の姿だが、俺には一定までの苦痛を耐えてしまう悪癖があった。この悪癖によっていくつもの歯痛を悪化させてきた実績がある。「めんどくせえ」「数日で直るべ」とたかをくくった。

 

結局、3日経っても回復の見込みが見えないどころかむしろ悪化している感覚におそわれたまらず整形外科へ飛んだ。医者にはもうちょっと早く来たほうがよかったですねえとやんわり注意され、レントゲンをとってもらった後、ロキソニン等の薬と湿布を処方され、頸椎カラーを渡され、寝るときは必ず枕を低くして仰向けで寝るように言われた(バスタオルをたたんで簡易な低い枕を作れ、とも)。

 

薬を飲み、家では食事中以外頸椎カラーをつけ、湿布を貼り、仕事も休んで安静にしていたら幸いみるみるうちに容体はよくなった。

 

今後は首と腰にはより一層気をつけようと誓った。

整骨院に行こう!

特に独り暮らしは体をこわしたら本当におしまいになる可能性が高い。

肉体が壊れかけている状況で、これまで何気なく日常的にこなしていた動作やタスクへの工夫を迫られる流れはチャレンジングで心地よかったが、これは俺がおしまいにならなかったからそう結べるだけだ。

 

 輪読座に参加(『サンショウウオの四十九日』回

 

ぶろこりさん主催のオンライン読書会、輪読座に参加した(寝違え状態から復帰したばかりだったので、読むのが直前になってしまった)。

 

今回の対象となった『サンショウウオの四十九日』は俺的にはいまいちだった。飛び道具めいた設定や人格のまじりあった新鮮な語り(斬新かどうかは知見の無い俺にはわからないが、少なくとも俺には新鮮だった)を用いた割には相当無難なところに着地したなあという程度の感想しか抱けず、語られる内容そのものも素朴寄りで、感嘆させられるような文章との邂逅も無い。これまで参加してきた輪読座で取り扱われた作品と比較しても、最下位になるかもしれない。いわば面白アメリカ人記者が登場しない『東京都同情塔』。

 

そのような状態だったので、いっそう他の方から語られる作品に関するコメントを興味深く拝聴した。自分以外の方の感想を見聞きするのは大好きだ。己では欠片も興味を抱けなかった要素が取り上げられ、意見が述べられ、取り上げられたそれらの要素や意見を結び合わせることで新たな視点が浮上してくる感覚がたまらない。

 

ぶろこりさんがとりあげた川上未映子による選評がかなりパワフルで、淡々と述べられた川上のコメントをこそ『サンショウウオの四十九日』のメインディッシュとして味わってしまった感がある。”小説にたいする根本的な怠惰”というフレーズは初めて目にしたかもしれない。

 

この選評とぶろこりさんの解説で川上の小説に興味を持ったので、時間のあるときに『わたくし率 イン歯-、または世界』を読む。