読書の感想(2020年6月前半)

年をとると肉の脂身があまり食べられなくなるという。

 

肉体的な話ではないが、最近目にするだけでつかれる言葉が増えてきた。

パワーワード」「関係性」「実質〇〇」あたりが代表例だ(『ミッドサマー』上映中の『TRICK』に絡めた実質ネタとかマジできつかった)。

 

何故こういった言葉が俺をゲンナリさせるかは書くまでもない。しかし上記の言葉そのものよりも、結局こうした安直な言葉に逃げ込んで思考の広がりを封じている自分に嫌気がさす。未来の胸やけを多少なりとも防ぐため、言葉に関する本を少しだけ読んだ。

 

 

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思考や感情を言語化するための方法(HowTo)が最重要視されており、実用書的な面が強いと思いきや、かなりロジカル寄りなので普通に参考になった。

 

”内なる言葉”という概念がわかりやすい。

 

 

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HowTo面は薄い。精神論的な面が主になっているが、言葉との向き合い方、言葉を使う上での心構えにフォーカスしており、読み物としてかなりおもしろかった。しかしそこを嫌ったトップレビューが目立っているのも、そのまんま著者の人柄が出ているようにみえておもしろい。

 

三浦 崇宏はネットメディアのインタビューをきっかけに関心を持って以降note・メディア記事・SNS等を追っているが、うさんくささとポジティブさの魅力が両立している、今でもつかみどころがない、心の底から不思議な人物だ。本書でもおそらく情熱自体が本物であろうことは伝わってくるのだが、具体例で出てきたPRで「twitterは爆発した」という記述があったりして、そこまではいってねえだろ!と突っ込みを入れたくなる。だがその素朴さが、翻って彼の情熱を担保しているようにもみえる。

 

三浦が本書で掲げているエピソードや思想そのものは道徳的には正道をいっているはずだ。だが個人的には、ポジティブさと、時折チラつくうさんくささの境界を行き来するかのような不確定さこそが本書の面白さのコアだとおもう。

 

あまり断言はしたくないが恐らく俺は既に三浦のファンになっている。

 

 

 

 

 

冒頭みたいな問題、特定ワードのミュート機能で回避したほうが早くねえか?という意見についてなのですが、世の中に避けmustの苦痛とあえて受け続けたほうがいい苦痛の2種類があるとしたらたぶん後者なんだと認識してます(アップデートのトリガーになるタイプの苦痛)。