りゅうおうのおしごと 6巻〜11巻を読んでの雑感

今回も例によってネタバレ。

 

1巻~5巻の感想で言及していた姉弟子ブレすぎ問題だが、読み進めていくうちに、勝負と恋愛どちらにも中途半端な未熟者であるということがそのままキャラクター性として扱われていて、妥当なフォローだと感じた。

 

7巻は師匠が強さを取り戻すまでの過程が色濃く描かれていたので納得度高いし普通に好き。

 

だが8巻以降は人間的成長→泥臭く粘り強い将棋を指す(入玉とかが起こる)→勝つという人情もの路線が顕著になった。

 

姉弟子が圧倒的格上相手に捨てゲーのつもりで偶然ラッキーパンチを放ち苦々しい勝利で昇級してしまうというような変化球はいいじじゃんと思ったが、11巻はこんなん。↓

 

メンタルどん底になった姉弟子だったけど、八一に告られて八一のカーチャンにちょっとしたアドバイスもらって色々スッキリしたらなんか将棋強くなってました。

 

既婚者の女流棋士が恋をすると勝負が強くなる!と主張し始めたように、たとえ純粋な将棋の実力が勝っていようと、他者との濃い関係性(絆)を持たないキャラは勝てないという流れが既定路線になってしまった感が強い。

 

10巻でも、ちゃんと努力してる才能ある将棋指しがちょっと油断してるところを、なんかよくわからん友情パワーで打ち破るという展開が見られた。神鍋家は兄妹揃ってかませ扱いが続いており、流石に不憫だ。7巻の師匠の場合はどん底から這い上がるための現実的な過程があったからまだ納得できたのだが(致命的な失敗、反省、不要なプライドをかなぐり捨てて頭を下げる)。だが11巻では、姉弟子が唐突に『見える!』と言い出してもう強者として芽生えたような描写になった。ハードな努力が報われた結果でもあるが、もう本当にシビアな戦いは終わって、少年向けバトル漫画的な世界観に切り替わったんだなという感想を抱いた。あまり誠実な見方では無いけれど、作者の手札が尽きたんだろう。

 

 

物語的には姉弟子こと空銀子がどう転ぶのか、どこまで扱うのかだけを確認したらサクッと終われる段階になったし、続きを読むのはもう完結後でいい気がしている。