RRR 感想

rrr-movie.jp

 

めちゃくちゃ面白かった。

 

意味わからんくらい面白かったのでまだ観てなくてこの記事を読んでいる人はすぐに映画館に行ってほしい(このブログで書いてる感想は基本ネタバレありです)。

 

 

 

・マスターピース

エンタメアクション映画のマスターピースの域に到達している(こういうのはepicと呼ぶべきか?)

 

筋書きはオールドスクールな勧善懲悪団結友情(ブロマンス)で構成されていて、魅せ方が抜群にうまい。どんなシーンでもドラマティックに味付けされていて目が滑るようなシーンは一切存在しないし、その盛り上がり方にもきちんと波があり、情熱だけではなく入念な計算も込みで製作されているようにみえる。悪く言えば古臭い物語が、異常なゴージャスさとパッションによってクラシックのような壮厳さを獲得しているのは瞠目するほかない。例えばラーマとビームが出会うきっかけとなった「ピンチの子どもを救う」場面にしても、汽車が橋の上で炎上して子どもが炎の中に取り残される、まではまあまだわかるのだが、その救出方法の発想が凄いし、これを全力で演ればすごいエンタメになると見込んでゴーできるのがすごい。

 

盛り上がり方も平坦ではなく、小盛り上がり→中盛りあがり→大盛り上がりがリフレインするかのように配置されている。最序盤でラーマが群衆相手に暴れるシーンは「バーフバリ」を知る自分には迫力が不足しているように思い少々不安になったが、それすらもDirectionによるコントロールだったのかもしれないと捉えることはできる。

 

・本気でエンタメ神話創ってる

「バーフバリ2」視聴当時も感じたのだが、ラージャマウリ監督はエンタメ神話をガチで作ろうとしているような印象がある(英雄譚系の神話)。

 

古式ゆかしい物語の大筋の展開はあくまでも柱となる固有のキャラクターの物語を貫徹させる方向性で徹底されており、登場人物同士のカンケイセイの揺れ動きや叙述トリック的な飛び道具はオミットされている。善なる白人であるジェニーの協力は彼女の同胞の大量死につながっているわけだが、そういうしちめんどくさいくだりに彼女が葛藤するような描写は存在せず、山場を越えた後はダイジェストで役目を終えていく。製作のモチベーションは自国の英雄を輝かせることであって、グローバルにコレクトネスな配慮を振り分けることではない。

 

ラーマとビームの変遷にも英雄譚的な要素がある。ラーマが真の英雄として目覚めたきっかけは、個としての義を貫徹せんとしたビームが想像を絶する責め苦にも屈しない姿に感銘を受けたからだ。またビームは英雄的人物ながら行動対象は限定されていて、民衆の心に大きな影響を与えてはいるがそれ自体には無頓着で、ラーマの真意を知ることで大義の尊さを悟り、再協力に至る。最強のふたりが団結することでそれぞれが英雄として覚醒していく。

 

興味深いのは2人の戦闘力の描写も変化していることで、最序盤は虎一頭や暴徒の群れに大苦戦していたにもかかわらず、2人が並びたち、使命に目覚める英雄となることで劇的に戦闘力が向上している。

 

めちゃくちゃカッコいいけど尖りすぎていてニヤけてしまう、でもシリアスな空気は崩れないバランス、有無をいわさぬ迫力が本当に心地良い体験だった。

 

・特にシビれたシーン

クライマックス的な盛り上がりがぶっ続く映画なのでただシビれたシーンを挙げるときりがないので数をしぼる。

 

>ナートゥ

女性は総督妻をのぞいてみんなインド文化に理解を示しているがイギリス男性は揃って保守的、みたいなのを露骨に出しているんだけど、エンタメのためにそうしているだけ(と信じられるレベル)だから嫌味なく観れる。

 

今まで観たインド映画にダンスシーンがある場合、たいていは精神世界的な描写での導入が多かったが(愛し合う人たちの固有結界に周囲が巻き込まれて踊りだす~みたいな)、”洗練された”異文化の押し付けに対して自身が真価を確信している自国文化をぶつけて強烈にカウンターする流れになっていて違和感が無いし、逆転の導入が教養を積み、英文化も吸収しているラーマ兄貴のドラム・プレイから始まるのも最高に心地良い。散々写した銀の皿の行く末、そうするんだ!?と驚くと同時に、パフォーマンスってのはこういうものだよな~としみじみさせられた。

 

ダンス自体がキレキレなのも素晴らしいし、流れの中でラーマの兄貴分としての心遣い、そしてビームとジェニーのさらなる接近をやっていて、気分良くダンスシーンからストーリーパートへの転換に付き合うことができる。

 

2人が協力したら無敵の超越者になれますよって布石でもあったなと観終えた後に感じた。

 

>世界で一番カッコいい肩車

この映画に点数をつけるなら1億だが、肩車のシーンには3億つけても良い。決別していた2人がスムーズに思い出の肩車へ移行するだけでグッときてしまう。2人の絆エピソードをそうやって調理するのか!と唸らされたし、肩車で行動して上下の2人とも無双してる戦闘シーンなんてRRRで初めて目にした驚きにも打ちのめされた。普通青年2人が肩車で軍人相手に無双するシーンなんてギャグにしかならないのに、ただただ滅茶苦茶な格好良さにうちのめされ、高揚することに専念できてしまう。再結束を果たした2人が神話的英雄として覚醒していることが伝わってくる戦闘力のインフレがすごい。

 

シヴァ神装備のラーマ登場

ライトをつけろ!でライト照らして、シヴァ神ゆかりの服装になったラーマがいる。神話的英雄爆誕してますよ~って描写でここまで格好いいやつある?弓矢無双の描写の仕方もしっかり「バーフバリ2」とは魅せ方も撮り方も矢の活用方法も何もかも変わっていて、進化を見せつけてくれた。肩に銃弾受けてピンチになったかと思ったら特になんの影響もなく爆殺するのマジでウケた

 

>バイク使いビーム

さんざんバイク関連描写やってきたビームは武器としての扱いも一流。

敵のバイクは信じられんくらいスタイリッシュに無力化するくせにビームが扱うと手がつけられない。

 

>ラーマが「獅子を仕留めに行こう」と提案して、乗っかったビームとバイク2ケツするかと思ったら通りすがりの騎兵が即死してバイクと馬で行くシーン

最高のエンタメ

 

 

アホみたいに良かったので監督の「バーフバリ」以前の作品にも手を伸ばすことにしました。良い体験ができた。自分が行ける最速のタイミングで行けるよう早いうちから調整しといて良かった~。

 

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歌の中ではDostiがぶち抜けていて映画館を出てもまだあたまのなかで鳴り続けていたし、帰路でさえ余韻にひたってしまいイヤホンで曲を聴くことができなかった。