アイドルマスターKR 感想

評判が良かったので手を出してみた。

 

ゼノグラシアみたいにガワを借りた別物だったら切ろうと思っていたが、2話ラスト以降どんどんアイマス成分が加速していき、ほぼノンストップで完走してしまった。

 

制作者は先が気になる展開や布石を混ぜないと呼吸できないのか?というくらい忙しないシナリオだし、作中で問題が発生した箇所を次回前半で解決し、また後半に転落させるというようなこともしばしばだったし、地道な展開を粘り強くやっていた割には少々ラストを巻きすぎな感があったのが少し残念だったが、総じてかなり楽しめた。

 

アイマスKRでは、アイドル候補生(練習生)を集めたプロダクションがデビュー枠をかけたサバイバル・プロジェクトに参加して鎬を削り合う。生まれも育ちもバラバラなやつらが集まって、紆余曲折ありながらも必死こいてなんとかアイドルになろうとする姿は美しい。

 

その様子はドタバタというよりもドロドロといったところで、幼少期に父親と約束した夢を果たすために鬼軍曹と化した練習生が昔馴染みのチームへの指導を激化させ、ストレス過食症に陥るメンバーが発生したり、陽キャお嬢様が無自覚に金持ちムーブをぶちかましてしまい、家族のためにほぼフルタイムで毎日バイトをしている貧乏な練習生が爆発したり、30歳が近づいている練習生が帰省すると、ご近所さんが父親に「あの歳で練習生なんて無職みたいなものじゃないか!今すぐやめさせたほうが良い、あんたの為だ」と助言するところを目の当たりにしたりする(娘想いの父親はマジギレしてくれたが、余計いたたまれない)。

 

こうした困難に練習生達がプロデューサー、社長、家族など周囲の力を借りながら立ち向かい克服していくのだが、その最中にもまた不穏な出来事が発生してしまうジェットコースターっぷり。

 

個人的に感心したのは、厳しい家族に怒られて活動ができなくなってしまった練習生の自宅前にメンバーが集まりその場でライブ練習を始めるが、家族は仲間との絆的なものにほだされずに本気で怒って止めるくだり。

 

作中のシビアな空気感が揺らぐのではないかと危惧していたのでホッとした。上記については結局人と人とのコミュニケーションで解決されることになるのだが、若い女子や青年の純粋さで訴えるのではなく、年長者からの実感がこもった対話を経るというやり方なのも落としどころとして良かった。

 

 

>プロデューサー(カンP)

顔が出てるアイマスプロデューサーキャラの中で一番好きかも。

 

過去のトラウマのせいか練習生達に懸ける情熱は凄まじく、彼女たちの成長の為なら、自分の評判が地に落ちることも、自分のキャリアを捨てることも躊躇しない。それでいて当の練習生達にはそういう感情を表に出さずにあえて厳しい言葉を投げかけ、自分で問題意識を持たせている。

 

とあるエピソードではプロデューサーとして仕事上の困難を乗り越える過程が描写されており、非常に良かった。『デカい会場をおさえた』、『良曲を完成させた』等の結果だけではなく、そこにいたるまでの過程を見せてくれる制作陣の心意気。困難なタスクを達成した際には普段抑えている感情を露にしてテンション爆上がりするところもあり、人間味がある。

 

練習生達からは恋愛感情を向けられず、ひたすら信頼されているだけにとどまるのも個人的には素晴らしい。