最近観た映画とかをサクッと

■ライオン少年

かなり良かった。エヴエヴオーと並び、俺的2023ベスト映画候補にランクイン確定。

内容はスポ根。ギャグとか本当にしょうもないんだけど、ああいう日常のしょうもない空気がシリアスな苦しみと地続きであることは序盤からずっと明示されているし、中盤以降の展開によって意義を増している。チュン達塩漬けチームのルックス描写は反現代的だなんて感想も見かけたけど、外見を劣等感にしている人間も、それをイジッてくるやつも現実に存在するわけで、”現代の倫理鑑にふさわしくない”なんて言い分で現実から目を背けるのはフェアな見方では無い。中盤以降の苦しい現実描写もあるように、これはそういう映画なのであって、悪意もなく不細工を描いているわけじゃない(フォレスト・ガンプとは違う)。

 

で、そういうしょうもない現実と地続きのアレコレが特定の目標に向かって一心に打ち込むことで爽快に吹き飛ばされていくパワーが『ライオン少年』にはある。その瞬間最大風速はラージャマウリ映画的な味があってたまらない(これは宇多丸も同じようなことを言っててうれしかった!)。

 

良すぎたので、もう一度劇場で観る予定。

 

グリッドマンユニバース

そこそこよかった。観に行った動機はDYNAZENON成分が9割、GRIDMANで未回収のまま終わった要素(響と六花)が1割ほど。

 

まっすぐなエンタメでまあまあ楽しめたが(ガウマ隊の面々みんなご褒美もらってるのが嬉しい)、気になっていた素の響裕太には特に惹かれるところは無かった。普段は弱弱しいけれど必要な状況では毅然としたヒロイックさを発揮できるシーンの布石になるような描写が特に思い当たらなかったので(俺がちゃんと観れてないだけかもしれない)、脚本の都合で唐突にヒロイックになったようにしか取れなかった。したがって響と六花の恋愛要素もまあがんばってねくらいの感触に。

 

グリッドマン・ドグマ

かなり面白かった。

 

グリッドマンユニバース内でコミカライズやスピンオフが映るシーンがあり、気になってコミカライズ作品をチェックしていたらひときわキワモノっぽい表紙が目立っていたのが読んだきっかけ。

 

グリッドマン・ドグマ - 原作:SSSS.GRIDMAN / 漫画:佐塚弾純 / 第1話 ヒーロー | くらげバンチ

 

画は粗いがテンポ良しセリフ回し良し筋書き良しで、とにかく漫画がうまい。かなり楽しめた。ネガティブな性格の人物がはちゃめちゃなテンションで暴れまくる描写は島本和彦作品好きにはたまらない。電光超人グリッドマンを視聴していないと物語終盤でわからないポイントがあるのだけれど、たまたま直前に観ていたのでタイミングに恵まれた。この漫画に巡り合うきっかけをくれたユニバースにグリッド感謝。

 

ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー3

凄く良かった。

 

ジェームズ・ガンがcancelされなくて本当に良かったなと安堵した(アダムの扱いにもそこらへんが反映されている)。

 

まずこのシリーズ、とにかく随所での挿入歌の使い方が抜群にうまくて、それだけでもうMV好き的には見逃せない。作中内においても、生活のなかで楽しむものとしてみんなに親しまれている(これは好意的すぎるくらいで、音楽嫌いを公言しているキャラを見かけた記憶が無い)。ふんだんに盛り込まれているMV的なシーンのなかでも俺的にはクライマックス・バトルが抜群にぶっ飛んでいて、次点が侵入作戦決行時の宇宙服ジャンプ。

 

このシリーズ、人間の汚い面(ドラックスの発言とか1の嘘で義足取ってこさせるシーン)をアッサリと描いている面も含めて信頼度大だっただけに、今後ジェームズ・ガンが再度関わってくれるかどうか不明なのはかなしいけれど、もう俺の中で完璧に完結しきった作品としてカウントできるので問題なさそう(『トイ・ストーリー』も俺の中では3までで終わっている)。

 

余談だけど、ぶろこりさんの輪読座でキリスト教が西洋圏に与えた影響の話を聞いた直後だったせいか、宗教的な描写に対してのアンテナが敏感になっていた。ハイ・エヴォリューショナリーが離反されるシーン、某宗教画をおもいっきりパロッてるシーン、露骨な<船>云々であったり。これも含め得難い経験であった。

 

■フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

まあまあおもろかった。

 

ウェス・アンダーソン映画。これはストーリー性をたのしむ映画ではないということだ(監督本人も、自身の作品傾向についてそのようにコメントしていた)。

 

内容はわりとポップで、心地よい情報量と豊かなビジュアルで形成されるテンポの良い映像を見続けていく、そういうタイプの作品。系列的には『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が近い(そうだよね?)。俺的には囚人と看守の話は良かったけど誘拐事件はいまいちだったかな~くらい。とはいえ穏やかな気持ちで画面に集中できる映像作品ってあまり巡り合えないので(コミュニケーションツールの誘惑に負けがち)、ありがたいかぎりである。同監督の新作もたのしみ。

 

シャニマス ワールプールフールガールズ

ん~...そんなに良くなかった。個別記事を書こうとしたが、ちゃんと書こうとするとかなり労力がかかる上、シンプルにあまり楽しめなかったのでスルーしていた。

 

ノクチルの絶対的に正しいわけではないがどこか肯定したくなる性質がファン達の欲望・願いにどう反応するか/対応していくのか みたいな話だったのだけれど、シナリオ内で言及された<世界の完成>をひっくり返す手法は詭弁だろうと思ったし、人生にフォーエバーが無いのだってそんなんファン側はとっくに理解しているし、わかったうえで言ってるに決まってるだろ。なあ?...(背後を振り返るが、人影が無く黙って目線をもどす)。

 

ノクチルは正しくないし事態を引っ掻き回す存在だが、今回は(解決方法は疑問だし、伝わってないファンもいるのでアレなのだけれど)ちゃんとケジメをとっている点は直に評価できる。「返さないと終わらないし、始まらない」、「ひっくり返しに行く」のくだりは普通に好みだった。