最近読んだ本とか観た映画とか

(映画)

■面白かったの

・マッドマックス 怒りのデスロード

物騒な存在が好きだ。高尚さが欠片もなくてもいいし、温和な人物が外聞を捨てて修羅の顔で返り血に塗れるような話も好きだ。

 

そんな性格なので命のやりとりを死ぬほど本気でやる映画というだけで好感度が爆上がりは必然だった。戦いに個人目標以上の大義が無いこともいい。フュリオサは故郷への帰還、イモータン・ジョーは一族覇権の継承、その部下は出世とヴァルハラ生き、妻達は自由への逃亡...。善も悪も無く、ただひたすら自分の欲望を満たそうとしている(カットシーンを確認するに、制作側がイモータン・ジョーが露骨な悪役にならないよう配慮してシーンを厳選しているように思われる)。

 

フュリオサが致命傷を受けた時もブチギレながら持ちこたえて、連れ去られた仲間を見つめて怒りから闘志を燃やして以降が一番イケてた。あの絶叫しながら頭突きするシーン良すぎてずっと再生してた。

 

新機動戦記ガンダムW Endless Waltz

映画館で鑑賞。面白かった。

 

内容的にはテレビ版で決着がつかなかった兵士としての少年たちのその後を扱ったもの...というか兵士をやめたいヒイロと兵士に寄り添いたい五飛の物語に決着をつけるための内容だと認識している。バートン財団の蜂起自体はその踏み台に過ぎない。

 

ガンダムトールギスⅢら超高性能機体+超優秀パイロットでなんとか負け戦として成立するレベルの血を流さない戦闘による抑止、美しい光景ではあるが将来的な平和の維持、やっぱりいくらなんでも難しくない?人類は過ちを繰り返す生き物だよ?などと考えていたら実際にそれが達成されたことを示す最後のナレーションがあって笑った。ここまで来るといっそ潔いが、ヒイロが殺す存在たる兵士を降りて誰も殺さずに済むようになり、弱い者は戦うなと激高していた五飛が弱いものたちが立ち上がる姿を見て結論を出せたことがコアなので野暮は言わぬが華だろう。。

 

あと本筋にそこまで絡んでいない存在としてトロワとゼクスの立ち回りがかなり愉快だった。制作サイドは間違いなく故意犯。トロワは怪しいやつらがお客として来たら即座にマッチョ姿を披露しながらぶん殴って潜入して即バレするし、ゼクスは一仕事終えた後になんかコックピットで足組んでちっちゃいお洒落本を読んでいる。

 

(本)

■面白かったの

・思考と行動における言語

www.amazon.co.jp

本書が紹介されている「アイデアのつくり方」を読み返している時に6月に読んだ言語に関する本が血肉になるほどは良くなかったなと思いだしたのでもう少し根本から学ぼうと思い購入。

 

体系だてたわかりやすい説明、複雑化しすぎない簡潔な固有名詞、最後に知識マウントとるやつはこの本読んでないのと同じだからなと釘刺すスタイル全てが完璧。

 

寝ながら学べる構造主義

(なんかリンクがうまくいかんのでタイトルをハイパーリンクにした)

 

 

 

ふとしたツイートをTL知識人の方に反応いただいたのをきっかけに購入。内容的には構造主義について各時代での思想の変遷紹介をはさみながら解説されているため、勉強不足勢の俺にもわかりやすい内容で非常に良かった。自分はどうしても勉強内容が断続的というかブツ切りになりがちなのだけれど、あらためて時系列を追うことの重要性が身に染みた。

 

モリッシー自伝

www.amazon.co.jp

 

言わずもがなだがザ・スミスモリッシーが出した自伝。長らく日本語版が出ていなかったがとうとう出版に至ったということで購入(関係ないが経緯が面白かった)。

blog.goo.ne.jp

 

自分はザ・スミスとしてのモリッシーを求めて読んだが、本当に個人としての自伝に集中しており、それもまた一部に過ぎない。彼の陰鬱な思い出の数々が生々しくぶちまけられる内容となっていてハードだがファンなら読み応えはあると思われる。

 

"Killer7"でザ・スミスを知って聴き始めたレベルの俺でもかなり面白かったので、ザ・スミスの歴史だけを知っているだけの人でも楽しめるかもしれない。どうでもいいけどシャニマスの天塵でもザ・スミスの曲名が章題として引用されていて、世界、リンクしてんな...と半ば放心した。

 

 

■合わなかったの

 

・一兆ドルコーチ

ビジネス書。去年読んだ中で一番面白かったHARD THINGSに出ていたビル・キャンベルについて書かれた本ということでかなり期待していたのだが、マジでつまらん本だった。リンクも省略。

 

序盤で本筋とは直接的に関係しない文脈で登場した「ハギオグラフィーを書くつもりはない」という1フレーズ、これだけは価値があると感じたし、個人的にはこれを「ハギオグラフィーは必要ない」という言葉に置き換え、座右の銘にしようと決めたくらいに気に入った。

 

しかしながら肝心の内容は結局ベッタベタのハギオグラフィーと化していた。次々に登場する社会的成功者の実績をぐだぐだとクレジットしながらエピソードを進行させるためテンポも悪く、醜い俗悪本へと成り果ててしまっている。クソすぎて途中で端末から消した。

 

 もうこの手のは選ばなくていいことにしようと思えたことだけはよかった。

ハギオグラフィーを読むつもりはない。

 

・なぜ世界は存在しないのか

www.amazon.co.jp

 

意味の場だとか話の広げ方自体は面白かったのだが、取り立てて主張内容が斬新とも思えず1年以上積んでいた本。とりあえず読み切ってはみたが最終的に主体性と多様性を持ちあげる平坦な着地。正直ベストセラーになるほどの内容だとは思えない。刊行当時にこういう思想を求める潮流が来ていたのだろうか。

 

・猫のゆりかご

同作者エッセイ『国の無い男』が楽しめただけに期待していたのだが、割と薄味のブラックジョークが最後まで続く物語で、ボコノン教と最終盤のあの展開以外は特に感じるものもなかった。作品がどうというよりは、今の俺の嗜好として獰猛な殴打を求めていることがデカい気がする。